WBA世界ミドル級スーパーチャンピオン、WBC世界ミドル級チャンピオンのゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)と、元WBA、WBC、WBO世界スーパー・ウェルター級及び元WBC世界ミドル級チャンピオンのサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)の再戦は、大接戦の末12ラウンド判定で、サウル・カネロ・アルバレスが新チャンピオンの座に就いた。
(現地時間 2018年9月16日 米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナ)

CANELO VS GGG on 16 Sept 2017 両者の初対決は引き分けに終わったが・・・

ちょうど一年前の2017年9月16日(現地時間)に初対決したゴロフキンとカネロ。僕にはゴロフキンの勝利かと見えたが結果はドロー。そのときの感想は、「二人の商品価値を落とさずに、今後もビッグマッチを作っていくというコマーシャルな意味合いとすればこれはこれでいいのだろう。誰も傷つかずに終えたのだから・・・」というものだった。

実際、プロモーションのあり方をみれば、常に最初に名前を呼ばれ連ねるのはカネロの方。つまり人気では(すなわち金を稼げるという点では)カネロ・アルバレスの方が上。というよりゴロフキンはいままで、強すぎるが故に対戦相手に恵まれず、ビッグファイトのチャンスになかなかありつけなかった。逆に言えば、ゴロフキン側にとっても、ビッグマネーを稼げる相手はカネロ以外にはない、というのが実情なのである。

だから、初対決の引き分けで、自身の全戦全勝のレコードを更新できなかったとしても(少なくとも無敗であることには変わりなく)、むしろ再戦でより大きな金を稼ぐチャンスを得られるほうがよかったと言えるのだ。

GGGデータカネロ
1982/04/08生年月日1990/07/18
カザフスタン出身地メキシコ
2006/05プロデュー時期2005/10
39戦38勝34KO 1分戦績52戦49勝34KO1敗2分
87%KO率65%
179cm身長175cm
178cmリーチ178cm
両者のデータ比較:
参照元:https://www.wowow.co.jp/sports/excite/info/detail_180907.html

CANELO VS GGG 2 on Sept 15 2018 ついに実現した再戦の結果は!?

その2人の再戦が、紆余曲折を経て一年越しで実現した。
世界中が注目する、最強の男たちの激突を、最速でお伝えしよう!

試合展開

第1ラウンドは静かな展開。ゴロフキンは頻繁に左ジャブを伸ばすが、カネロは足を使って避けるのではなくブロックしながら強いカウンターを当てていく。2ラウンドにはカネロの左スマッシュがゴロフキンの右頬骨をしっかり捉えてダメージを与え、場内をどよめかせた。

これはよくないと判断したのだろう、ゴロフキンは3Rに入りプレッシャーを強めていく。しかし、今回のアルバレスは下がらない。1年かけてつくってきた体力に自信があるのだろう、強いパンチを振るってゴロフキンを逆に下がらせる。
4ラウンドは体の柔軟さを生かしたゴロフキンが多彩な左ジャブを中心に手数を出し、アルバレスを攻め立てるが、アルバレスも強くて速い連打で対抗。その展開は5ラウンドに入っても変わらないが、相変わらずアルバレスがプレッシャーをかけ続けて、ゴロフキンを下がらせていく。特に左フックのボディ攻撃が功を奏している様子だ。

ここまで全体的にカネロ・アルバレスが試合を巧く進めている印象だ。
第6ラウンドもカネロが優位に進め、ゴロフキン陣営が相当に慌て始める。第7ラウンドはゴロフキンが接近戦を挑みカネロはそれに応じる。ゴロフキンとしてはカネロを下がらせたいのだろうが、カネロは全く下がらず正面に立ち続ける。ゴロフキンからすれば、自分の強打を受けて下がらない相手はいなかった。前回の戦いにおけるカネロもそうだった、ゴロフキンのプレッシャーを受けたカネロがロープに詰められるシーンが多く、結果的にゲームを支配したのはゴロフキンだった。
それが今回は、相当に鍛え、用意してきたのだろう、カネロは若さと体力に磨きをかけ、ゴロフキンのプレッシャーを跳ね返して、前に出続ける。その圧力にゴロフキンは焦り、乱されていく。

そうはいってもカネロにもダメージがないわけではない。鼻血も出ているし左眉尻をカットして出血している。第8ラウンドではゴロフキンの攻勢にカネロは少しインターバルをとった感じ。

第9ラウンド。劣勢を感じているのだろう、ゴロフキンは鬼の形相で前に出る。ゴロフキンは左ジャブから右のオーバーハンドライトで攻めるが、空振りするとカネロは左ボディを当てていく。ゴロフキンの強い右とカネロのボディブローの当て合いという展開だが、とにかく両者ともタフネスぶりを見せ、怯まない。ただ、手数の面ではゴロフキン。

第10ラウンドではアルバレスが強打で前に出る。7ラウンドあたりからゴロフキンが距離を詰めて手数を出してきたことに対して攻勢をとってポイントを取りにいく必要を感じたのだろう。ただそうなるとゴロフキン側にもチャンスが生まれる。ゴロフキンのいいパンチがカネロを捉えることもしばしば。それでもカネロは体力で跳ね返し、決定打を打たせることはしない。

第11ラウンド。先に攻めてきたのはゴロフキン。36歳という年齢を感じさせないスタミナは驚異的だ。11ラウンドはポイント的に非常に重要なラウンド。両者とも疲れてはいるが、思うにゴロフキンは体の柔らかさが利して、軽いパンチを打ち続けられる点で、硬く頑丈な肉体を持つカネロに対して有利に働くのだろう。

そしてKO決着が望まれた再戦は、ついに最終ラウンド(第12ラウンド)。どちらにも転びそうな採点を考慮して、どちらもポイントを取りにアグレッシブに動く。強打を振るうカネロ、柔らかく速い連打で攻めるゴロフキン。互いに引けを取らない意地のぶつかり合いの中、ゴングが鳴った・・・。

第1戦にも増してクロスゲームとなった大勝負は、どちらの勝利をアナウンスされても納得する展開。初戦をはるかに超える熱戦となった・・。

試合結果

2-0の判定で、カネロ・アルバレスが勝利。

ゴロフキンの無限に続くかと思われた長期政権はついに陥落。メキシコの若き英雄が真のスーパースターの座に就いた。