年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき映画を紹介。今回の100分の1の映画は、ジェニファー・ローレンスの渾身のスパイムービー『レッド・スパロー』。彼女が好きなら絶対に外せない一本だ。

華麗な舞台から闇の世界へと堕ちる美しき女性の苦闘を描いた第1級のスパイ映画

ロシアのボリジョイ・バレエ団のプリマドンナであったドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)は、公演中の事故によって大怪我を負い、バレリーナとしての道を絶たれる。病人の母の看護と生活のため、情報庁の副長官である叔父の手配によって、ドミニカはハニートラップ のプロ、”スパロー”として第二の人生を歩み始める。

ハニートラップ(英語: Honey Trap)とは、女性スパイが対象男性を誘惑し、性的関係を利用して懐柔するか、これを相手の弱みとして脅迫し、機密情報を要求する諜報活動で、ヒューミント(英語: Humint、Human intelligenceの略)の一種。

天性の美貌とバレリーナとして培った演技力と機転の良さによって、ドミニカはすぐに頭角を現す。そして、即戦力と期待された彼女に与えられたのは、ロシアの国家機密を宿敵の米国に売り渡す”モグラ(スパイ用語で敵国内にいる機密情報漏洩者をさす)”の正体を暴くことだった・・・・。

知的なエロスを爆発させるジェニファー・ローレンスの魅力が詰まった作品

ハニートラップは女性スパイの専売特許ではなく、男性スパイが色仕掛けで対象となる女性を罠にはめることもある。007のコードネームで知られるジェームズ・ボンドも単なる女好き、プレイボーイというよりも、このハニートラップの達人ということが言えると思うし、実際本作のスパロー養成所にも男性の生徒が何人もいた。ただ、重要情報にアクセスできるという地位にいるのが比較的男性が多いので、必然的にハニートラップを仕掛けるのは美女、ということになりがち、ということだ。

スパローとなるドミニカたちは自身を国家の娼婦と自嘲するが、彼女達は美しさを磨くだけでなく、会話や仕草、もちろん性的なテクニックにいたるまで、非常に過酷な訓練を受けている。自身のプライドを保てるような相手を選ぶことはできず、どんなに意にそぐわない相手であっても骨抜きにしなければならないからだ。

世界的に女性をヒーローとして描く映画が最近増えている(増やそうという意図的な動きがある)が、本作もその一環と言えるかもしれない。女スパイを主人公にしたといえばシャーリーズ・セロンの『アトミック・ブロンド』のヒットが記憶に新しいが、あちらが体を張った派手でパワフルなアクションが見ものとすれば、本作のドミニカは同じ体は張ってもガンアクションはほぼゼロ。エロティックではあるが、あくまでクールな心理戦での諜報活動に終始する。陽と陰、まさしく裏表な感じがする。

ちなみに、よく鍛え上げられた長い四肢が見事なシャーリーズ・セロンに対して、肉感的でとにかくエロいジェニファー・ローレンスが思い切ってそのボディを晒しているのも本作の魅力の一つだ。ジェニファーファンなら見逃せない、いや絶対に見るべきだと言っておこう。
ただ、セロン演じる女スパイ、ロレーンもそうなのだが、ジェニファー・ローレンスもまた(いつもの愛らしく開放的な笑顔を封印して)常にクールでポーカーフェイスを保ち、悲惨な運命を自ら切り開いて未来を目指そうとする強い意志を持った女性を演じている。

作り的には続編もありそうだが、果たしてシリーズ化は成立するか?
僕としては是非、実現してほしいと期待しているのだが。

映画「レッド・スパロー」予告C

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『レッド・スパロー』6.6デジタル配信/6.27ブルーレイ&DVDリリース

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