長年勤めてきたテレビ局を辞め、自由な生活を求めてほぼ廃墟化したカフェを借りて住み着いた松ちゃんを慕うリナ。間違った相手に恋したかと思いはじめてはいるものの、今日もバイクで松ちゃんのドヤに向かってしまう。そのとき、路肩でバイクを停めてうずくまる1人の老人を見かけたリナは・・・
Mr.Bike BGで大好評連載中の東本昌平先生作『雨はこれから』第34話「ささくれ峠」より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集 by 楠雅彦@ロレンス編集部

猛暑の中、松ちゃんの住処に向かうリナ

私、リナ。どうやら松ちゃんに惚れちゃってるみたい。
松ちゃんのほうは何考えてるか全くわからないし、とにかく偏屈なオヤジだから、冷静になれば”恋したって無駄!”と思ったりするんだけど、今日も40度超える猛暑の中、バイクで彼の居場所に向かってる。なんだかね。

もう少し走れば松ちゃんの家(家というかカフェ崩れの汚い住処なんだけど)につく、というところで、私は路肩でバイクを停めて座り込んでいるおじいちゃんの姿を発見した。
「どうしました?大丈夫ですか!?」と声をかけると、おじいちゃんは「あんまり大丈夫じゃない」という。私は慌ててバイクを降りてヘルメットを脱いだ。
するとおじいちゃん、「チョット肩を貸してヨ」というじゃない。熱中症??立てないのかな??私はちょっと慌てておじいちゃんに近づいて、彼を起こそうとしたの。

そしたら・・・・おじいちゃんたらさ!何したと思う??

調子悪いなんて嘘だったのよ、くっそぉー。

出会ったのは調子のいいジジィと調子の悪いバイク

悪びれない態度に向っ腹立てたけどさ

なんだ、このジジィ!と腹が立った私だったけど、実はチョットホッとした。元気ならよかったよ、まったく。

ワリィワリィ、とおじいちゃんは言う。「バイクの調子がイマイチなんだよ」

自分はめちゃ調子いいくせにさ、私はやっぱり腹が立ったけど、ほっとくわけにはいかない。
こういう時に頼りになるのが松ちゃんだからさ。私はバイクにまたがって、松ちゃんの住処に向かったの。

暢気な顔で誰かのバイクを修理中の松ちゃん。なによ、もう

果たして、おじいちゃんのバイクは直るのか。
リナの恋の行方も気になるけど、それはまた今度別のお話で・・・・