雨、あめ、アメ。ヤツはダートトラックライディング最大の敵です。オーバルレーシングは走法の特性上、基本的に雨中を走ることができません。降り続いた雨がレーストラックにダメージを与え、その後晴れたとて暫く走行不可になる場合さえあります。ここまで天候に左右される二輪モータースポーツは他に類を見ませんが、例えばテニスや自転車競技の世界では、"Rained-OUT = 雨天開催中止" は珍しいことではありません。というわけで本日は、我が国でのダートトラックの今後を考える上で、愛好家・関係者が備えておきたい "コンディションに対する心得" についてお話しましょう!

雨の多いニッポン vs ダートトラック。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。私がダートトラックレーシングに、一介のライダーとして関わるようになってから15年ほどになりますが、雨のため中止に追い込まれたレースを思い返せばキリがありません。シリーズによっては年間全5戦中・なんと4戦が雨天中止になったことすらあります。雨の多いここ日本でのダートトラックとは、環境面で常に厳しい条件を突きつけられる、ある種 "過酷な運命にあるスポーツ" です。

本場アメリカのダートトラックレースも、降雨やトラックコンディション不良の際、もちろんスッパリと中止になりますが、各地を転戦する全米プロ選手権のようなシリーズ戦の場合、開催地ごとに雨や自然災害の発生しやすい時期を極力避けてそのスケジュールが組まれます。参加型スポーツであると同時にショウ・興行としての側面から捉えれば、当然のことです。

日本ではあまり知られていませんが、アメリカのカレンダーには "合衆国の祝祭日" が年間10日ほどしかありません。そのうち5月最終月曜 "メモリアルデイ" と、9月第1月曜 "レイバーデイ" は、それぞれが毎年、前日日曜開催の伝統の全米選手権スプリングフィールドマイルレース (イリノイ州) の雨天予備日とされる習わしです。

我が国の各地のダートトラックイベントにあっても、梅雨や秋の長雨、あるいは台風の時期や地域特有の気象条件を念頭に、緻密にその開催計画を組み立てることが、まずは肝心でしょう。

Nobody wants to be a Storm Chaser.

気軽に関係者が集える近場での小規模な/あるいはローカルな走行会ならいざ知らず、遠方からのエントリーにも広く期待するオープンなレース・イベントを考えるとき、主催者が予想される天候を読み誤り、参加者に無駄足を踏ませることは、可能なかぎり避けたいところです。

当日の現場判断での開催中止が続けば、その度ごとに各自の交通費は無駄な出費になりますし、ライダーの参加意欲もやがては萎んでしまうかもしれません。限られた予算中で活動する参加者を想えば、一か八かの開催を避け、潔く次回大会へと誘導することの方が、はるかに合理的だと言えます。

会場となるレーストラックの路面特性 = 降雨に対する耐性を熟知し、開催する季節の特徴的な気象条件を知ること、開催日から何日も遡って空模様と天気図を読み解くこと、当日に近づけば現地付近の雨雲レーダーや微細な気象状況の変化に気を配ることも大変重要です。

止まない雨はないはずだから。

数日ごとにどこかで雨が降るこの国で、安定的にダートトラック・イベントを開催し、参加者に走り続ける機会を提供するためには、難しい判断を迫られる場面が多くあることも確かです。とはいえ経験とデータの蓄積と、冷静で的確な判断によって、少しずつ正確性を増すことはできるはずです。

私の主宰するダートトラックレース・FEVHOTSでは、2013年のシリーズスタート以来、最終レース終了までに降雨によって現場での続行不能・中止判断を下したのは、後にも先にも一度きりです。同じ轍を踏む二度目のないよう、さらに注意深く多角的な状況判断を心がけています。

レースで走行するのは我々主催者ではありませんが、だからこそ参加者に寄り添う姿勢を心がけなければなりません。ライダーたちのストレスを取り除き、各自のベストに近いパフォーマンスを自然に、無理なく引き出せる環境を、どのようにして整えるかが重要なミッションだと考えています。

ダートトラックレーシングは参加者同士の身体・マシンの接触を伴うコンタクトスポーツゆえ、怪我やアクシデントを完全に排除することは困難ですが、関係者が一丸となってあらゆる可能性を検討し、対策を寝ることもまた、無駄な努力とはならないはずです。

我々主催者にできるのは3歩先を読み、2歩先を語り、1歩先を照らすことだけです。その過程では、共に行く人々を想うことが何より重要です。

計画はニーズに合わせて。

ダートトラック最大の敵、降雨はさておき、今年の夏はメチャクチャな暑さが我々の活動を妨げています。我々FEVHOTSでは、様々な理由から盛夏にはレースを開催しませんが、毎週平日・火曜日に、現在関東圏で唯一の常設稼働するダートトラック・オフロードヴィレッジ (埼玉県・川越市) での公式練習日 "オープンプラクティス" を設けています。こちら通常午前9時〜16時までの走行を、コースオーナーと協議の結果、次週より8月末まで熱中症対策のため15時〜20時 (日没後は夜間照明あり) とすることになりました。我々の活動に興味を持たれた方は、せっかくのこの機会、お仕事帰りにでもぜひ一度遊びに来てください。

本日はどうしても書きたいことがあったので "あえての文字ばっかり" でお届けすることにしました。ではまた金曜の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!