海外での人気をベースに国内に登場した「モンキー」は、小さなサイズと可愛らしいフォルムで一気に人気者となっていく。まずは、モンキーの歴史について1967年(初代)から1970年代を見ていこう!

遊びの天才、ホンダの原付50ccレジャーバイク「モンキー」が2017年生産終了となりました。しかし2018年、モンキーが125ccとなって復活!この連載ではそんなモンキーの歴代車を1から振り返っていきます。

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「モンキー」の名はこの1台から!最初に国内市販されたモデル「モンキーZ50M」

1967 Z50M
●エンジン型式:空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:2.5ps/6,000rpm●最大トルク:0.31㎏-m/5,500rpm●乾燥重量:47.5㎏●サスペンション(前後ともに):リジッド●タイヤサイズ(前後ともに):4.00-5●価格:6万3,000円

1967年、ついにモンキーの名を正式に冠され、国内にもデビューしたのがモンキーZ50Mだった。CZ100と同じく5インチホイール、リジッドサスを採用する小さな車体は、メインパイプがステアリングヘッドからテールエンドまでを貫く、新しいフレームを採用。タンクはスポーツカブ用から一転、専用にデザインされたコンパクトなもの。

シートも専用品となり、座面をチェック柄とする遊び心あふれるデザインが採用された。エンジンはスーパーカブのモデルチェンジに合わせてOHC化。ただし最高出力は、カブ用の4.8psに対し2.5psにまでデチューン。ダイヤルを緩めてハンドルを折りたためる構造や、燃料排出コックなどを備える横倒し搭載も可能な燃料系により、簡単に自動車のトランクへ搭載できるようなつくりも特徴だった。

小さな燃料タンクは容量2.5L。車に搭載することを配慮、タンクキャップ上のつまみを90度回すことで、ブリーザー穴が閉じてキャブレターへ燃料が回らないようになっている。

チェックの表皮がポップな雰囲気のシート。下に見えるレバーを操作する、シートが下に下るようになっている。これも車載時にできるだけコンパクトにするための工夫だ。

より安全で扱いやすいオートバイへ8インチホイール採用で『大きく』進化

1969 Z50A
●エンジン型式:空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:2.6ps/7,000rpm●最大トルク:0.3㎏-m/5,000rpm●車両重量:55㎏●燃料タンク:2.5L●サスペンション(前・後):テレスコピック・リジッド●タイヤサイズ(前後ともに):3.50-8●価格:6万3,000円

日本はもちろん、アメリカでも大人気となったZ50M。その愛らしいスタイルを活かしながら、より安全で扱いやすいオートバイに進化させるためにフルモデルチェンジ、1969年にデビューしたのがZ50A。5インチという小径ホイールを8インチにまで大径化し、やや車体が大柄に。さらに前後リジッドだったサスも、フロントフォークのみスプリングを装着。

リアブレーキもペダルから左レバー操作に。合わせてフレームも改良された結果、走行安定性は格段に向上した。さらにウインカー装備に合わせてバッテリーも搭載。マフラーの取り回しも変更、エンジン最高出力は2.6psとわずかにアップ。折りたたみハンドル、横倒し搭載対応の燃料系はそのままだが、シート折りたたみ機構は廃止されている。

スプリングのみでダンパーを備えない、シンプルなテレスコピックフォークだが、リジッドサスとは大違い。8インチ化されたホイールと合わせて安定性は高まった。

スーパーカブC50ベースのOHC単気筒で、遠心クラッチ3速ミッションを装備するエンジンはZ50Mと基本的に同じ。吸排気系の改良により、Z50Mよりわずかにパワーアップした。

フロントまわりをそっくり分離可能!自動車への積載性を高めた個性派。

1970 Z50Z
●エンジン型式:空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:2.6ps/7,000rpm●最大トルク:0.3㎏-m/5,000rpm●車両重量:53㎏●燃料タンク:2.5L●サスペンション(前・後):テレスコピック・リジッド●タイヤサイズ(前後ともに):3.50-8●価格:6万3,000円

モンキーのデビューした時代は、日本で乗用車の普及が急速に進んだ時期でもある。そんな状況に合わせてホンダはZ50M、Z50Aで「積んでいって遊ぶ」というスタイルを提案。折りたたみハンドルなど、自動車への搭載を配慮した構造を採用していた。

1970年に登場したZ50Zはそのコンセプトをさらに推し進め、自動車への積載性を大幅に向上させたモデル。フロントフォーク&ホイール、ハンドル、ヘッドライトというフロントまわりをそっくり車体から分離できる構造を採用。より小さなスペースに搭載できるようになっている。そのため、Z50Aで左手操作になっていたブレーキは左足ペダル操作に戻され、スタンドもセンタースタンドに変更された。なお、従来モデルのZ50Aも併売されていた。

ヘッドライトとウインカーの配線カプラーを外してから、トップブリッジに設けられたハンドルを回せば、上下のフォーククランプから先が簡単に分離できる構造。

センタースタンドの採用にともない、Z50Aからマフラーの構造が変更された。スーパーカブ系のOHCエンジンそのものの構造やスペックについてはZ50Aと同じ。

前後サスを備えてより快適化。ライバルに対抗して完成度をアップ

1974 Z50J
●エンジン型式:空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:2.6ps/7,000rpm●最大トルク:0.3㎏-m/5,000rpm●車両重量:58㎏●燃料タンク:4.0L●サスペンション(前・後):テレスコピック・スイングアーム●タイヤサイズ(前後ともに):3.50-8●価格:7万9,000円

モンキーが切り開いたレジャーバイクというジャンル。1969年には兄弟モデル・ダックスも登場し、1970年代初頭には若者を中心に人気が沸騰。他社からもヤマハGT50、スズキ・バンバンなどが続々と登場。そんなライバルたちに対抗して、元祖レジャーバイク・モンキーも1974年にフルモデルチェンジ、新型のZ50J、通称4Lモンキーへと生まれ変わった。

最大の改良点は車体で、リアリジッドフレームに別れを告げ、スイングアームを備えるツインショックを採用、これで乗り心地や走行安定性がさらに高まった。スタイリングも一新され、愛らしさの中にもスポーティな雰囲気に。エンジンそのものはZ50A/Zと大きく変わらないが吸排気系を一新。3速ミッションもロータリー式からリターン式へ変更されている。

Z100以来の伝統だった、ループ状のパートが目立つリジッドフレームから、一般的なスイングアーム式ツインショックへと変更。乗り心地、安定性が大きく向上した。

コンパクトな前後フェンダーはクロームメッキ仕上げ。小さいながらも荷物が積みやすいリアキャリアが標準装備とされ、日常的な用途での実用性が高められた。

カラーリングの変更と細部の改良が加えられた改良版

1975 Z50J-II
●エンジン型式:空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:2.6ps/7,000rpm●最大トルク:0.3㎏-m/5,000rpm●車両重量:58㎏●燃料タンク:4.0L●サスペンション(前・後):テレスコピック・スイングアーム●タイヤサイズ(前後ともに):3.50-8

Z50Jが1975年にマイナーチェンジしたモデル。外見上はカラーとタンクグラフィック変更が目立つが、リターン式3速ミッションのままペダルのみシーソー式にされ、非視認性を向上するためウインカーの左右への張り出しが大きくされるなど、細かな部分が改良されている。

モンキーらしさはそのまま。アメリカン的にイメージチェンジ

1978 Z50J-I ●エンジン型式:空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:2.6ps/7,000rpm●最大トルク:0.3㎏-m/5,000rpm●車両重量:63㎏●燃料タンク:5.0L●サスペンション(前・後):テレスコピック・スイングアーム●タイヤサイズ(前後ともに):3.50-8●価格:10万円

1978年に再びモデルチェンジを受けたモンキーがZ50J-Ⅰ。折りたたみハンドル、コンパクトボディといったモンキーならではの特徴や、フレームやエンジンなど基本メカニズムはZ50Jからを受け継いでいるが、大きく変わったのはそのスタイリング。

Z50Jのスクエアなイメージのタンクに代わって、流麗な造形のティアドロップタンクが新たにデザインされ、合わせてシートも鞍型で側面に鋲を配したものに変更。当時国内でも注目されはじめていた、アメリカンバイクのイメージを取り入れたユニークなスタイルで、これが2008年まで受け継がれていくことになる。ミッションは自動遠心3速、マニュアルクラッチ4速の2タイプを用意。ヘッドライト大径化、ウインカーの大型化などで安全性にも配慮されている。

コンパクトな中で美しくデザインされたティアドロップタンク、容量はZ50Jの4Lから5Lに拡大された。このタンク形状は2008年モデルまで受け継がれていく。

タンク上面のラインと合わせるようにデザインされた形状の鞍型シートもアメリカン風な造り。モンキーの小さなサイズの中でも、充分な快適性も備えている。

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