半ばどうでもいいその決意のために、新車に乗り換えた一人のバイク乗りのお話。
オートバイ2018年8月号別冊付録(第84巻第12号)「Go out to lunch」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
昼休みにラーメンを食べに出かけると決意した日
俺は新城。社会人になって何年過ぎたか、自分でもすでに忘れた。だってもううんざりなんだよ。
だから今日はラーメンを食べる日と決めている。そう、今日のランチはとびきり美味いラーメンに決めてるんだ。何があってもさ。
すると、俺の気分を見透かしたように部長が俺を呼びやがる。
新城くん ちょっと!、じゃねえよ。
そうは言っても俺もサラリーマン。そこは「はい」と従順に立ち上がる。社会人になって何年過ぎたか忘れたが、うまいこと生きていくための処世術を学ぶには十分な期間はあったってことさ。
ところが、美人だが意地の悪い部長は「新城くん、ワルイんだけどさ」と切り出すのさ。
「さっきの件今日じゅうにできないかナ?」
今日中って・・・俺は困惑しながら意地悪いけど美人の部長に言い返す。「昼休み返上じゃないとできませんヨ!」
昼休みは労働者の大事な大事な時間なんだ、まして今日はラーメンを食いにいく特別な昼休みなんだ、と俺はもちろん心の中で強調する。
5分遅れで慌てる俺に、一息つかせてくれるのはH2SX
昼休みだけは確保だ。今日は何が何でもラーメンを食べにいくんだ。
繰り上げられた締切に、午前中必死に対応したものの、昼休みに5分食い込んじまった!
慌てつつも地下の駐輪場に降りた俺は、新しい愛機Kawasaki H2SXのエンジンをかけ、その轟音を愉しむ余裕もなくまたがると、すぐに出発した。
5分の遅れは痛いが、こいつの性能ならそれくらいなんてことないさ。世界最高の、ハンパねェツーリングバイクだからよ!こんなときのために買い換えたようなもんさ、こいつにな。
食べたら疾走れ!
結局間に合ったのかって?
あったりまえさ。
俺とH2SXは、ラストオーダーギリギリで店に到着したが、首尾よく美味くて熱々のラーメンをゲットしたさ。ああ、うめェ!
麺はもちろんスープの最後の一滴まで飲み干した俺は、来た道を折り返す、全力で。
だって午後の仕事もたんまりだからな。もううんざりなんだよ、だけど待ってろよ!今日じゅうに仕事、仕上げてみせるさ、見てろよ、部長!
・・・・新城の心情を確かめるには、本誌を手に入れてくださいね!