年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ見るべき映画を紹介。
地球資源の枯渇と人口増大が深刻になった近未来。世界的に一人っ子政策(=児童分配法)が徹底されたディストピア的未来を舞台としたSFサスペンス。

セブン・シスターズと聞いて石油メジャーを思い出す人、手を上げて

資源が枯渇しかけた近未来の地球。全人類が飢えて滅亡するかと思いきや、人造的な食料改革のため、食糧難は免れる。
ところが、この食料には副作用があり、人は妊娠しやすく、しかも多胎児(同じ母親の胎内で同時期に発育すること。つまり双子や三つ子などの総称)傾向になってしまう。そこで人口増大を止めるために各家庭に許される子供の数は一人まで、といういわゆる一人っ子政策(作中では児童分配法)が採択され、二人目以上の子供は冷凍睡眠により、人口問題が解決するであろう未来まで冬眠状態にすることになる。

そんなとき、とある家庭では7人の女の子が同時に生まれてしまう。普通なら6人が間引かれるところだが、彼女たちは出生を隠され、一人の子供としての架空の人格とIDを与えられて育てられる。

7人の女児たちは、Monday Tuesday Wednesday Thursday Friday Saturday Sundayと曜日にちなんだ名前が与えられ、それぞれ該当する曜日にのみ外出を許され、カレン・セットマンという一人の女性を皆で演じながら生き続けた。

やがて彼女たちの出生から30年が経った時、長女であるMondayが行方不明となる。底知れない不安に姉妹たちが慄然とする中で、恐るべき陰謀が幕を上げる・・・。

原題は『what happened to Monday(Mandayに何が起きたか)』。7人の姉妹の物語であるから邦題はセブン・シスターズ。命名した担当者は、おそらくはかつて世界を牛耳っていた石油メジャー7社のことを思い起こしていたのだろう。

一人七役のノオミ・ラパスが好演

基本的にはB級サスペンスだが、設定の面白さと、一人7役のノオミ・ラパスの熱演によってなかなか見応えがあるディストピア作品になっている。

彼女たちの出生を隠し、協力し合うことで生き抜く術を教える祖父役にウィレム・レフォー。児童分配法の旗振り役の議員に『危険な情事』のグレン・クローズ。

本筋とは関係ないけれど、ノオミ・ラパス演じる7人の姉妹はそれぞれ顔は同じながら普段の”素顔”はそれぞれが独特の個性を持っている。が、彼女たち共通の人格であるカレンのときの、キメキメメイクとドレッシーなスタイルが一番彼女の魅力を引き出している。

セブン・シスターズ 予告編

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一卵性七人姉妹。個性が違う彼女たちの、一体誰が好み??