文字どおり世界「最高峰」のヒルクライムレースが「Pikes Peak International Hill Climb」。その頂点を目指して戦ってきたHonda&Acuraのチャレンジャーたちを、懐かし名車から最新ウェポンまでご紹介しましょう。

100年越しの峠祭り。4301mの頂上に向けて156カ所のコーナーを攻める!

The 2017 Acura NSX Wins at Pikes Peak International Hill Climb

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2018年6月24日、米国コロラド州で「第96回 パイクスピーク国際ヒルクライムレース」(以下「パイクス」)の決勝レースが開催されました。標高差1.5km、平均勾配7%という峠道約20kmを登る速さを競うこのレースは、富士山を越える気圧差など非常に厳しい条件のもとで行われるものです。

コーナーの数は実に156カ所。世界でもっとも標高が高いコースということで、ダウンフォースが弱くなったりドライバーが高山病にかかったりと、タフなことでは群を抜いたレースです。けれど昨今は世界の自動車メーカーや腕自慢の大小様々なコンストラクターたちが、その技術力を見せつけるべくしのぎを削ってきました。

ターボ&スーパーチャージャーで武装したアクティブSUV「RDX」も参戦

2018年のパイクスを戦ったHonda=Acura勢。手前から最新のスポーティSUV RDX、ゴツ目のスポーティサルーンTLX、ピュアスポーNSXと、多彩なバリエーションが揃っています。

2018年のHondaのパイクス・チャレンジでは、Acuraブランドから3台のマシンが投入されますが、いかにも「お祭り」らしくそのジャンルは多種多彩。北米市場で人気のアッパーミドルセダン「TLX」はインパクトたっぷり。なによりも異彩をクロスオーバーSUV、「RDX」の異彩ぶりが目を惹きます。どちらも、Acuraブランドのスポーツバージョン「Aスペック」モデルが参戦します。

「RDX」としては3代めに当たるニューモデル。アグレッシブなルックスもさることながら、市販モデルでも2L直4VTECターボが最高出力272hpを発揮し、トランスミッションは10速ATが奢られています。2018年の参戦マシンは市販型に対して大容量のターボチャージャーと電動スーパーチャージャーを装備、最高出力は350hpに達しています。

Acuraブランドのプレミアムセダンが「TLX」。こちらもまたイカつさ満点の顔立ちですが、これは「プレジション・コンセプト」と名付けられた、アキュラブランドのCI戦略に基づくものです。上級モデルにはレジェンドと同じV6・3.5Lと9速AT、さらにSH-AWDを組み合わせたメカニズムが搭載されます。2台が投入されますが、1台は500hpを発揮するハイスペックな仕様となっているのだそう。

2018年のAcura NSXは、ハイブリッドマシンのコースレコード更新を狙う。

ちなみに新型NSXは2016年に、仕様違いの2台が初参戦、市販プロトタイプクラスの1台が優勝しました。もう1台、日本のレーシングドライバー山野哲也が運転したのが「Acura NSX インスパイアド 4モーターEVコンセプト」で、こちらは総合3位に輝いています。

2017年は総合9位ながら、ハイブリッドマシンとしてのレコードタイムを記録。今年もその記録を塗り変えるべく、さらなる軽量化やセッティングの熟成が施されています。

前後に配された大胆なスポイラーが、いかにも「峠を攻めるマシン」らしさを演出しています。市販モデルがベースとなっているのですが、エアロはもちろん中身もそうとうな強面。SH-AWDのメカニズムはそのままに、大容量ターボチャージャーや専用セッティングのCPUなどが装備されているのだとか。

リザルト速報:TLX GTがクラス優勝&総合3位! NSXとともにレコード更新!!

決勝の総合結果はご覧のとおり。総合優勝は、初参戦のフォルクスワーゲンI.D. R。パイクスのスペシャリスト、ロマン・デュマ選手のドライビングで栄冠を勝ち取りました。同じアンリミテッドクラスで昨年、やはりデュマ選手によって優勝を勝ち取ったノルマのM20 SFが2位となっています。

ピーター・カニンガム選手のドライビングで、クラス優勝・総合3位に入賞したTLX GT。

ホンダ勢のトップは、2017年モデルからさらなる進化を遂げたTLX GT。自己が持つオープンクラスのレコードを、大幅に塗り替えてクラス連覇を果たしています。注目のNSXはタイムアタック1クラス4位、総合では14位でしたが、それでもハイブリッドモデルのレコードタイムを見事に更新して目標をクリアしています。

ちょっと残念だったのが、初参戦のRDXでしょう。と言っても、マシンそのものにトラブルがあったわけではなく、決勝日の昼前からゴール付近の天候が大荒れとなってしまったため。RDXを含む出走順が終盤の13台は結局、ボトムセクションだけを使った「ショートコース」でのチャレンンジとなってしまったのでした。

標高4302mの「頂点」を目指すタイムアタックレース。2019年も、Honda&Acuraの健闘が楽しみになってきました!普通はなかなか応援に行けないのが、残念!!