15年前、初めて出会った女神のような女の子サトミに恋したオカモトタクマ。やがて彼女は親友ヨウヘイの妻となり、タクマの手が届かない存在になっていた。そんなとき、ヨウヘイが怪我をしたという知らせが入り、タクマの心はざわめいた・・・。
オートバイ2018年7月号別冊付録(第84巻第11号)「Hope Against Hope」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部

15年前、タクマの前に現れた女神に恋した・・

サトミと出会ったのは、大学2年の春だった。川の土手に寝そべり、ヒバリの声を聴きながらまどろんでいた私の前にオートバイとともに現れたのがサトミだった。

いきなり光の中からあらわれた彼女のことを、私は女神かと思った。思えばその時から私は彼女に恋をしていたのだろう。

光の中からいきなりあらわれた女神

親友のケガの知らせに思い切って電話してみたが・・

しかし、私の恋は実らなかった。

彼女は私の親友のヨウヘイの妻になり、今は広島にいる。子供も二人いるそうだ。
あれから十五年、時間だけは経っているのだが、私のほうは何も変わらないでいる。

そんな折、ヨウヘイがケガをした、という知らせが私に届いた。
たいしたことはない、そうは聞いたが、親友の不幸に連絡をしないというわけにもいかないだろう、私は苦手な電話を手に取り、ヨウヘイの家に電話をした。

すると電話に出たのはサトミ。
私は努めて自然な口調で「あっサトミちゃん?オカモトです」と言った。するとスマホから懐かしい彼女の声が答えた。「あらっタクマ!?今どこなの?」

どこって・・・私は若干苦笑しながら答えた。「東京だヨ」

すると、サトミは震える声で私に言った。
「どうして会いに来たって言ってくれないのヨオ!?」

その言葉に私はとっさに決心した・・(何を??)。