1960年代の世界ロードレースGPで大活躍したホンダが、市販大型車の分野においてもヨーロッパ勢に追いつき追い越すために量産世界初のDOHCモデルを開発した。
世界最強を目指して作られたCB450
1965年にホンダは、DOHC方式や市販車初の負圧式CVキャブレター、そしてユニークなトーションバー・バルブスプリングなどの当時の最新技術を盛り込んだCB450を市場に投入する。すでにCB92やCB72、72をベースにボアを6㎜拡大して305ccとしたCB77を欧米に輸出していたホンダが、より大排気量でパワーのある車両を望む現地からの要望に応えて、当時輸出市場で人気だったトライアンフやノートン、AJSといった650ccの英国勢をターゲットに開発したモデルだ。
排気量で200cc小さいCB450の最高速度は並み居るライバルを上回る180㎞/h超に達し、ゼロヨン加速13.9秒という優れた動力性能をマーク。同時に群を抜く耐久性も実現し、ホンダの世界戦略車第1号として大きな一歩となる。日本でもその独特な燃料タンクの形状に由来する『くじらタンク』の愛称とともに高い人気を博した。
しかし、主要輸出国であるアメリカ市場では、大排気量の生み出す低速域からの豊かな「トルク」を好む傾向もあり、セールス面でCB450はトライアンフをはじめとする英国製650ccツインに勝てた・・・と言える結果を残すことはできなかった。そのためホンダは大排気量第2弾として、後のスポーツ車のあり方を覆すことになる名機、CB750Fourの開発に取り組むことになるのだった・・・。