アメリカンダートトラックのイメージといえば、競馬場を舞台に大排気量ツインのマシンが200km/h超で抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げる "マイルレース" が花形でしょうか? それとも四輪レース用の金網とコンクリートウォールに囲まれた "ハーフマイルレース" ? いやいやちょっと待ってください。平均速度こそ遅いですが、ハンドルバー to ハンドルバーの超接近戦が魅力の "ショートトラック" を忘れてはいけません! ダートトラックは "数ある二輪スピード競技の中で最も狭いスペースで競えるカテゴリー" でもあるんです。本日は特徴的ないくつかのショートトラックを動画でご紹介!

小さなレーストラック = 初心者向けとは限りません。

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/レースプロモーターのハヤシです。1周15秒かそれ以下のショートトラックオーバルは、ターン = コーナーのRが小さく、マシンの姿勢を極めて短時間で変化させることが必要で、ストレートが短く速度に委ねてマシンを旋回させることも難しいため、必ずしも小排気量マシン向き・初心者向けとは言い切れません。むしろ450ccなどの大排気量シングルを100~150m級オーバルで自由自在に振り回すには、相応のテクニックと体力が必要となってきます。

ダートトラック競技では、平滑で安定した競技場 = 走路を確保することがとにかく重要です。走行を重ねるうちに路面は荒れ、コンディション悪化を避けることはできませんが、短距離のトラックは、トラックコンディションを一定レベル以上に保つためのメインテナンス性の面からも、大変有利だと言えます。

150m級のインドアショートトラック!

Puyallup, Washington Indoor Main Event 12/10/11

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アメリカ西海岸北部のワシントン州ピュアラップで毎年冬季に開催される "ミッキー・フェイのノースウェストエクストリームフラットトラックシリーズ" からプロクラス450ccのレース映像です。一般的な比率のオーバルトラックより細長く、ルーストがほとんど上がらない "ハードパック" のサーフェスに仕上げられていることが、お分かりいただけるかと思います。

90m級!? コンクリート路面でのショートトラック!

San Jose Indoor

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毎年1回開催される、カリフォルニア州サンノゼの "レジェンド・インドア" レース。金網で囲まれたコンクリート路面の極小オーバルで、床面保護のため鉄スリッパーは履かず、左足裏にはダクトテープやカーペットの切れ端を巻き付けて滑らせます。レコードライン上には走行を重ねるごとにタイヤラバーが定着し、より安定したスライド走法を可能にします。

映像の最後には、イベント内での、レース以前の練習走行の模様が収められていますが、当初の磨きのかかったコンクリートはツルツルで、百戦錬磨のプロライダーたちも感触を確かめながら慎重に走り出す必要があるようです。

アイスホッケーリンクでのスパイクタイヤオーバル!

ICE - World Championship Ice Racing - Bloomington, IL

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アメリカ中西部の五大湖周辺エリアでは、冬季氷結した湖でのレースやライディングも盛んに行われます。こちらはイリノイ州のアイスホッケー場でのインドアレース。レース用スパイクは専用品で、特殊な技法でタイヤの外から中に向かってネジ込むタイプです。他のライダーと接触した際の安全対策として、前後のスパイクタイヤを大きく覆う、"アイスフェンダー" 装着が必要です。

この夏・・・か秋。長野に "伝説のショートトラック" が復活します!

FEVHOTS 2014 Flat Track Shootout

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長野県上伊那郡中川村に所在する "オートパーククワ" は、風光明媚な渓谷のなかに位置する170mのクッションダートトラック + モトクロス場として、およそ27年間、多くのライダーたちを楽しませてきました。しかし東京 ~ 名古屋を結ぶリニア中央新幹線が近傍を通過する計画のため、トンネル工事残土の置き場として、2017年夏に自治体へコース敷地を完全返還。いったん休業することとなりました。

我々FEVHOTSは、レースシリーズをスタートさせた2013年以来、こちらで年数回のレース・走行会・スクールなどのイベントを行い、関西・中部・関東からほぼ等距離という良好な立地のもと、多くの新規参加者を受け入れてきました。一昨年からのコース休業は、全国からのダートトラックライダーが集う良質なトラックを失うという、競技コミュニティ全体にとって大きなダメージだったことは言うまでもありません。

しかし、コースオーナーである飯島町のオートバイ販売店・モトクラブコバヤシの小林哲雄氏は、片時も弛まぬご尽力により、以前と同じく中川村内に新たな用地を確保。モトクロス + ダートトラック両方を用意するべく、昨年春から造成工事をスタートし、新たな出発を目指しています。

コースオーナーと地元有志の皆さんの活躍で、原野を切り開き、ついに平地が現れたオーバルトラック予定地。中央の四角がトラックインフィールドで、降雨による路面へのダメージを抑える調整池として掘り抜く予定。

敷地形状による制限があるため、今回我々FEVHOTSも協力して造成を進めるオーバルトラックは1周およそ1/13マイル (123m) 。複数台でも安全に走行できるよう、コース幅8mを確保してレース開催を目指します。今後は降雨によるダメージを抑える調整池・コース外への飛び出しを防ぐセーフティウォールを整備し、土中の岩石を機材を駆使して取り除く難しい作業が待っています。

本州のほぼ中心に、地域に根ざしたオーバルトラックを築くこの活動、続報はまたお伝えします。ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!