年間100本以上の映画を観る筆者が、今からでも観るべき映画をご紹介。
英国のスパイといえば007ことジェームズ・ボンド、というのが定番だが、その定説に真っ向から挑戦するスパイ映画、それが『キングスマン』。そのシリーズ最新作が『キングスマン:ゴールデンサークル』。

B級アクションのノリで魅せるコメディタッチのスパイアクション

キングスマンとは、英国を拠点とした国際的なスパイ組織で、構成メンバーアーサー王の円卓の騎士の名前をコードネームとして冠されるのが通例。主人公のエグジー(タロン・エガートン)は前作で凶弾に倒れたハリー(コリン・ファース)のコードネーム”ガラハッド”を引き継いでいる。

コリン・ファース(前作でアクション映画に初挑戦したという)演じるハリーは、前作で死んだと思われていたが、本作では実は生きていたという設定で、再びシリーズに復帰している。

今回は、世界的な麻薬組織によって壊滅的なダメージを負ったキングスマンが、米国版キングスマンというべき”ステイツマン”に助けを求めるところから始まる。キングスマンのメンバーは皆特殊なスーツや、紳士の持ち物(傘とかアタッシェケースとかね)を改良した武器を持つが、ステイツマンのメンバーはカントリー風というか、古き良き時代のアメリカの風俗をベースとしたスタイルで戦う。

本作の特徴としては、タランティーノ作品に通じるB級映画的な残虐さやスプラッター的な描写が多いこと、それとスーツ姿で戦うスタイリッシュでアクロバティックなアクションのかっこよさがある。そこにハマれば、ファンにとってはたまらない、強い型を持つ、新しいジャンルのスパイ映画である。

スパイ映画といえば!=◎◎◎◎

じゃあ、僕にとってはどうか、というと、正直スパイ映画なら「007シリーズ」(特に今のダニエル・クレイグのシリーズがいい)とトム・クルーズのミッション:インポッシブルシリーズの方が好きだ。あまり映画の好悪を出さないのが当連載のお約束なのだが、僕はどうにもこのシリーズが好きでないのだ・・・(なら見るなよ!というところだが、見る価値ならばあるから困るのである)

キングスマンの脚本は、僕には幼稚に思えるし、設定もこじっていてあまり好きでない。さらに致命的なのは本作が長すぎることだ。 上映時間2時間 21分は長すぎる。2時間を超える映画はたいてい冗漫な脚本だ、というのが僕の持論だ(長いからダメ、ということはないのだけど)。

本作の特徴である、タランティーノ的残虐さも、シリアスさをコメディタッチで描くスタイル、スタイリッシュなアクションも、僕にはあまり響かない。前述したように、ハマる人にはどハマりするが、ハマらなければ全くハマらない。(僕はハマらない)
逆にいうと、そういう潔さをもっている映画だと言える。だから好きな人にとってはベストオブベストになるくらいの勢いを持つ作品だから、お好きな方はぜひ、というのが結論なのである。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』3.14先行デジタル配信/4.6ブルーレイ&DVDリリース

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