世界初の3モーターハイブリッドシステムを搭載した5代目の発売から約3年が経過したレジェンド。今回、フルモデルチェンジに匹敵するほどのマイナーチェンジが行われたという。その進化ぶりを試乗して確認した。

渋滞運転支援機能をホンダ車で初採用するなどホンダのフラッグシップとして相応しいADASを採用している。

かなり挑戦的になった“顔”と“走り”

2104年11月に発表、2015年2月に発売が開始されたホンダの「5代目レジェンド」は、世界初の3モーターハイブリッドシステムを採用するなどフラッグシップを名乗るに相応しいモデルだった。

しかしそんなハイテク搭載や意気込みとは反面、販売面ではかなり苦戦を強いられていた。主要マーケットと目されていた北米、そしてホンダの本国となるここ日本でもその販売台数はごくわずかである。そこで通常は4年ほどでマイチェンされるものだが、それを1年前倒し、デビューから3年が経過したこの時期に満を持して大幅な改良が施されたのだが、その内容はフルモデルチェンジに匹敵するとホンダ自らが謳うほどである。

4WDシステムは路面状況や走行状況に応じて四輪駆動/前輪駆動/後輪駆動をシームレスに切り替える。

まずはエクステリア。従来モデルと同様に、フロントグリルは、五角形という点では変わりはないがよりワイド感を強調するような新しいデザインに変更されている。明らかに“違う”というのがひと目でわかるようになっている。それと同時にジュエルアイLEDヘッドライトの形状も新しくなり、かなりアグレッシブ、いや“ちょい悪”といっていい顔つきだ。

次にインテリアだ。歓びと寛ぎを感じられるようにしたというレザーインテリアはフラッグシップに相応しいものとなった。カラーは全4色が設定されエクステリアと合わせて32通りの組み合わせから選べる。ちなみにそのボディカラーは、プラチナホワイトパールなど新採用された6色を含む全8色である。

そして車体後部に積むインテリジェントパワーユニット(IPU)は37kgの軽量化、さらに小型化されている。実はこの小型化は恩恵も生み出し、トランク容量が従来の401Lから414Lに13L拡大され、さらにパワートランクを採用するなど使い勝手も向上している。

「SPORTモード」スイッチを押せばモーターアシストを積極的に行い、変速も高回転を使う制御に変化する。

先進安全運転支援機構(ADAS)も進化している。ホンダセンシング(ホンダのADASの呼び名)は、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた高精度・多機能を持つが、従来の衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車線維持機能などに加え、ホンダ車として初めてトラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機構)を採用した。

これは高速道路などの渋滞時に0~約65km/hまでの速度域で前方車との車間距離を保ちながら走行車線を維持するようアクセル/ブレーキ/ステアリングの操作をアシストするというものだ。

しかし、こうした変更点にばかり目を奪われていると新型レジェンドの本質を見失う。走りの面も大きな進化を遂げているのだ。

リアシートに座るよりも積極的にハンドルを握りたい

ドライバーズカーとしての素質も確実に進化している。終始クルマとの一体感が増して、乗り心地が向上、さらに狙ったラインを楽に走ることができるのだ。この理想の走りを実現するためトルクベクタリング機構を改良したのだという。

パワートレーンは、3.5L V6エンジンに3つのモーターを組み合わせたもの。システム最高出力は382ps、システム最大トルクは463Nmで、組み合わされるトランスミッションは7速DCTである。またスイッチひとつでモーターアシストを積極的に行い変速時も高回転域を積極的に使うスポーツモードも用意される。

3.5L V6エンジンと3つのモーターを組み合わせたシステム最高出力は382ps、システム最大トルクは463Nmを発生する。

とくにリアに搭載した2つのモーターは、エンジンとは独立して左右の後輪を別々に駆動することが可能で、強い加速時や登坂時、滑りやすい路面などでは4WD、高速クルージング時や緩加速時はエンジンの力を使いFF、発進、加速、中低速クルージング時はリアモーターで滑らかな後輪駆動で走行といった駆動方式をシームレスに切り替え制御することができる。またコーナー進入時には、曲がる側の前輪制御力を制御し、コーナリング中期では旋回外側の後輪の駆動力を内側よりも大きくするなどして自然な旋回フィールを実現することにも貢献している。

新しいレジェンドは、当然、リアシートの快適性も向上しているが、そこに座るより積極的にハンドルを握って走りたいクルマに仕上がっていると感じた。さて今日はどこまで行こうか。そうした気持にさせてくれるクルマである。
ライバルとして想定しているのはドイツのプレミアムセダン勢だ。つまりBMW3シリーズやアウディA4、そしてメルセデスベンツCクラスなどである。

現状、これらのドイツプレミアムセダンに対し劣勢な販売台数となっているレジェンドだが、マイナーチェンジによってあらゆる面で実力は拮抗するようになった。まさにそれが今回の改良の目的だったのだ。

実力は確実にアップした。あとはそのアピール方法だ。ぜひともホンダのフラッグシップに相応しい内容を知って欲しい人に確実に届けることが必要だと思う。

4WDシステムは路面状況や走行状況に応じて四輪駆動/前輪駆動/後輪駆動をシームレスに切り替える。

■ホンダ レジェンドの主要諸元
エンジン型式=JNB型 種類=V6SOHC 総排気量=3471cc ボア×ストローク=89.0×93.0mm 圧縮比=11.5 最高出力=231kW(314ps)/6500rpm 最大トルク=371Nm(37.8kgm)/4700rpm 燃料・タンク容量=プレミアム・57L JC08モード燃費=16.4km/L 全長×全幅×全高=5030×1890×1480mm ホイールベース=2850mmトレッド=前1630/後1630mm 最小回転半径=6.0m 車両重量=1990kg トランクルーム容量=414L 駆動方式=4WD トランスミッション=7速DCT ステアリング形式=ラック&ピニオン サスペンション形式=前ダブルウイッシュボーン 後トーションバー ブレーキ=前Vディスク/後ディスク タイヤサイズ=245/40R19 車両価格=7,074,000円 ※フロントモーター型式=H2 最高出力=35kW(48ps)/3000rpm 最大トルク=148Nm(15.1kgm)/500-2000rpm リアモーター型式=H3×2基 最高出力=27kW(37ps)/4000rpm 最大トルク=73kW(7.4kgm)/0-2000rpm(1基あたり)