ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ゼンデイヤらキャストの豪華さでも話題。
『ラ・ラ・ランド』製作チーム x ヒュー・ジャックマンがタッグ
米国で初めてサーカス を成功させた興行師P.T.バーナムをヒュー・ジャックマンが演じる。
貧しい仕立て屋の息子として育てられた少年フィニアスは、上級社会の娘チャリティを妻に娶り可愛い娘二人を得るが、貧困層を蔑む富裕層を見返せるほどの大成功を夢見続けていた。
ある時彼は、奇形として人々に虐げられ続けている人々(髭がある女性とか、幼児園児ほどの身長で成長が止まった男性など)を集め、歌やダンスや芸を仕込むことでスターとして扱う、風変わりなショースタイル(悪く言えば見世物小屋だが・・)を「地上最大のショー」と名付け、大々的に開催し始める。
これが大当たりして、バーナムは一気に大金を得るが、上級社会からは「成金」として冷ややかな視線を浴び続ける。
湧き出る奇抜なアイデアと実行力を持つ彼は、上級社会出身のフィリップ(ザック・エフロン)を相棒として引き抜いたり、英国女王の謁見を実現させたり、スウェーデン出身の美貌のオペラ歌手リンドの米国リサイタルを主催したりと、正真正銘一流のプロモーターとしての名声を獲得しようと躍起になる。
しかし、それらが裏目にでて、彼は破産宣告を受ける羽目になり、サーカスも解散の危機を迎えてしまう。
妻にも去られ、自暴自棄になるバーナムだったが、彼を励まし、再び力を与えたのは、他ならぬサーカスの仲間たち。普通の人と違う、ということだけで差別され続けてきた彼らは、サーカスこそが自分たちの居場所、サーカスの仲間こそが本物の家族、その場所を与えてくれたのは他ならむバーナム自身なのだ、と謳う。彼らに背中を押されたバーナムは、サーカス復興のため、再び気力を振り絞り、立ち上がることを決意する・・・
登場人物たちの歌とダンス、力強いメッセージが楽しく感動的なミュージカル映画の傑作。
一生懸命生きていくことの美しさ、大切さを教えてくれる本作、104分はあっという間に過ぎてしまうことだろう。
ちなみにバーナムの奥さんチャリティを演じたのはこんな女優↓
心理学用語「バーナム効果」の語源となったバーナムの言葉
バーナム効果(バーナムこうか、英: Barnum effect)という言葉を知っているだろうか?
誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象 のことだ。
辻の占い師などはこの心理現象をうまく利用しており、例えば、あなたは寂しがり屋だ、と言われたり、最近少し不安なことがありますね?などと言われば、誰もが「確かに」と思う。誰だって寂しいときはあるし、不安が全くない人は滅多にいない。
この言葉は実は、本作の主人公P.T.バーナムの We've got something for everyone(すべての人に当てはまる何かがある)という言葉に因んで名づけられたという。
本作でも、バーナムは「人はみな不気味なものや変わったものをみたがる」として、サーカスの前身としてギロチン台やミイラ、巨大な象やキリンの剥製などを展示した博物館を開設しているし、そもそもそサーカス(馬鹿騒ぎという意味)そのもののコツとして「僕は人を楽しく騙す」と説明している。
誰にでも当てはまる要点をみつけ、そこをうまく利用する。
バーナムはその意味で、一種の詐欺師なのだとも言えるが、彼にさほどの悪意はない。人と違う特徴を持つ者たちを集めてサーカスを作ったが、それは彼らを見世物にして笑わせるという目的は微塵もなく、そのユニークさを武器にすることを思いついただけだ。
本作のバーナムは、実在のバーナム同様毀誉褒貶、栄華とどん底の行き来をするが、常に彼自身か彼の周り(一度は彼の元を去る妻も、サーカスの面々も)は常に陽気で力強い。自分を、周りを元気にするだけの力を持っている人がいてくれる、という心強さ。多様性というか、自分は自分、と素直に思えると同時に自分と違う人たちを認めることの素晴らしさ。そうした、誰にでも当てはまる人生の奥義を本作は確かに教えてくれるのである。