悲しいニュースですが、アプリリアをイタリア有数のブランドに育て上げたイバノ・ベッジオが73歳で亡くなりました。

1970年代にモトクロス界へ進出・・・そしてロードレースGPへ

アプリリアのブランドは第二次世界大戦が終わって間もない、荒廃したヴェネチアのノアーレという街に生まれました。アルベルト・ベッジオが興した同社は自転車を手がけ、復興の足として庶民に支持されることになり、1962年には合資会社へと成長します。

アルベルトの息子であるイバノは、1960年代末に父の会社を受け継ぐかたちで経営手腕を発揮しました。彼はアプリリアをオートバイやスクーターの製造業者に発展させ、今日のアプリリアブランドの基盤を整備することになるのです。

自身も熱心なモトクロスライダーだったイバノは1974年にアプリリアの会長になりますが、そのころにアプリリアは本格的なモトクロッサーを開発。1977年にはイタリア国内選手権で125/250ccのタイトルを獲得。1978年にはイバン・アルボゲッティが世界MX GP125ccクラスで年間6位になるなど、順調に実績を積み重ねていきました。

レゴラリータ(エンデューロモデル)のアプリリアRC125。モトクロッサーのMX125とともに、アプリリアのヒット作になりました。

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1983年に水冷2ストローク単気筒の本格ロードスポーツのST125を発売したアプリリアですが、この時期からアプリリアは本格的なフルラインアップメーカーへの道を突き進むことになります。1985年からはロータックスとのエンジン供給合意を締結。モータースポーツはモトクロスからロードレースに主戦場を移し参戦を開始しました。

英コットンとの関わりから、GPロードレース用2ストロークエンジン開発をするようになるロータックスのタンデムツインを、アルミツインスパーフレームに搭載するAF-1は1985年にデビュー。そして1987年のサンマリノGPでは、ロリス・レジアーニがGP初優勝を成し遂げました!

そして1992年にはアレッサンドロ・グラミーニがアプリリア初の125ccタイトルを獲得。そして1994年は250ccクラスをマックス・ビアッジが制覇。当時アプリリアの2ストロークGPレーサーは、訳知り顔の人々から「時代遅れ」と言われていたロータリー・ディスクバルブの吸入方式を採用していましたが、「ジャパン・アズ・ナンバー1」を信じて疑わない人たちは、アプリリアの大躍進に非常に驚かされることになりました。

1992年125ccクラスでアプリリアRS125Rに乗り2勝あげたA.グラミーニ。

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これからのアプリリアの発展を天国から見守ってください・・・

アプリリアは1992年から2011年までの間、125ccクラスで10回、250ccクラスで9回、ライダータイトルを獲得する偉業を成し遂げています。また1981年から挑戦した世界トライアル選手権では、トンミ・アーバラが見事1992年のタイトルをアプリリア・クライマーで獲得しました。

1993年型クライマーとT.アーバラ。この時代のアプリリア車はいずれも、パステル調のカラフルなカラーリング展開が特徴でした。

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1998年からはVツインエンジン搭載の「ミレ」で大型スポーツのマーケットに進出。2000年にはモト・グッツィとラベルダという古豪ブランドをアプリリアの傘下におさめましたが、2004年にはアプリリアがピアッジオグループに買収され、当時世界第4位の2輪製造業者グループの一翼を担うことになります。

2010年、2012、2014年のSBK(世界スーパーバイク選手権)を制覇したRSV4をベースにしたマシンで、2015年からはMotoGPへ参戦再開。今年はアレイシ・エスパルガロとスコット・レディングのコンビが、シーズンを戦いことになります。

2018年型アプリリアRS-GPを前に、笑顔を見せるS.レディング(左)とA.エスパルガロ。今シーズンの躍進が期待されます。

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近年はKTMやBMW、そしてドゥカティなど、トップクラスのモータースポーツで日本メーカーを脅かす海外メーカーの存在が珍しくなくなりましたが、その先鞭をつけたのは紛れもなくアプリリアでしょう。モータースポーツ活動を長年熱心に継続しつつ、フルラインアップメーカーを目指したその野心と実績は、2輪史に残る業績として賞賛に値するものです。

2003年、レザースーツ姿でマシンにまたがるI.ベッジオ。

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アプリリアがFIM世界選手権で得た54の世界タイトルの内訳は・・・38がMotoGP(世界ロードレース選手権、125cc:20、250cc:18)、7つがSBK(メーカー・ライダー同時が2010、2012、2014年、メーカーのみが2013年) 、そしてスーパーモトの7つ、トライアルの2つ、となります。この数字がさらに増える活躍をアプリリアがすること願いつつ、天国から氏はずっと見守っているでしょう・・・。