ヘビー級最強対決の準決勝が始まった!
WBC世界ヘビー級チャンピオンであり、39戦全勝38KOデオンテイ・ワイルダーは久しぶりに登場した米国人チャンプ。強力な右を中心とした、比較的大振りで野性味たっぷりな強打が魅力のワイルダーに対して、ルイス・オルティスは28戦全勝24KO2無効試合でこちらも負けなしながら、ヘビー級とは思えない巧みなテクニックと、サウスポースタイル。
ワイルダーはブロンズの爆撃機(1940年代の名チャンピオン ジョー・ルイスのニックネーム「ブラウンボンバー=褐色の爆撃機」にあやっている)というKOキングならではの異名、対するルイス・オルティスは「キングコング」という異名を持つ。
現代のヘビー級で四強とされるのは、ジョシュア・アンソニー、ジョセフ・パーカー(この二人は3月末に対決予定)、デオンテイ・ワイルダー、ルイス・オルティスの四人。
その四人がそろそろ直接対決を求められるようになってきたのが今。まずワイルダーとオルティスが戦い、そしてジョシュアとパーカーが戦う、という、いわば準決勝が始まったところである。
史上まれに見る激闘を制したのはワイルダー
5Rにダウンを奪ったワイルダーに対して、7Rには反対に数発のカウンターから猛ラッシュでワイルダーをダウン寸前に追い込んだオルティス。
ただ38歳のオルティスにとって、このラッシュでワイルダーを仕留められなかったのが痛かった。体力を使い果たし、相当にダメージを受けているワイルダーを追いきれずに、続く8Rではかえって体力を回復する時間を与えてしまった。さらに、9Rでは開き直ったワイルダーの右ショートを喰らい、ダメージを負う。
そして10R、激闘の終止符は突然打たれる。再びワイルダーの強打を浴びたオルティスはぐらつき、二度のダウンを奪われ、そのままレフェリーストップを受けてしまうのだ。
ワイルダーはこれまであまり強く打たれたことがなく、劣勢に陥ったことがなかったが、オルティスは間違いなくワイルダーを追い詰めた。5年前だったら、勝ったのはオルティスだったかもしれない。しかし、結果として、”今の”ワイルダーは深刻なダメージを負っても、クレバーに時間を稼ぎ、そしてスタミナを取り戻し、さらに一瞬のチャンスも見逃さない勝負勘の良さを証明した。
これで準決勝の勝者の一人目はワイルダー。勝ち残った彼は、3月末のジョシュアvsパーカーの勝者を待つことになる。ヘビー級頂上決戦、決勝戦の実現はもうすぐだ。