J.J.エイブラムス製作のSFホラー映画「クローバーフィールド」シリーズの第三弾。
2008年に公開された『クローバーフィールド/HAKAISHA』、2016年公開の『10 クローバーフィールド・レーン』に続くものの、微妙に異なる世界観と設定であり、今回は舞台が宇宙。
資源不足に陥った地球と人類を救済するため、宇宙ステーションで新たなエネルギー源の研究を行う科学者チームたちを、不可思議な事件が襲う・・・。

本作のストーリー

地球は深刻な資源不足に陥り、文明社会は崩壊寸前。そこで、各国は共同して新しい恒久的なエネルギーを確保するために優秀な科学者たちを選抜し、宇宙ステーション内のラボで、地球を救うに足る新エネルギーの開発に取り組ませる。

何年にも及ぶ実験の結果、科学者たちはやがて新エネルギー確保の足がかりを掴むが、原因不明の事故を起こしてしまう。その結果、宇宙からは見慣れた地球が消えてしまい、不可思議な現象がステーション内で続発し始める。

巨大なエネルギーを生み出そうという実験が引き起こした事故が時空を歪ませて、異なる二つのパラレルワールドを接触させてしまい、それぞれの空間が交わってしまったのだ。

科学者たちは、必死に知恵を絞り、元の世界に戻そうと努力するが、予期できない不思議な現象は止まることなく頻発しはじめ、やがて宇宙ステーション自体も崩壊し始める・・・。

果たして彼らは元の世界に戻ることはできるのか。そして資源不足で滅びつつある地球を救うことはできるのか?・・・

かすかな希望の後に隠された深い絶望を共通項とした、ユニバーサルタイプのシリーズ

「クローバーフィールド」シリーズは、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「スター・トレック」シリーズで知られるヒットメーカー、J.J.エイブラムスの製作総指揮。そもそもクローバーフィールドという名称自体が、彼が創設した映画・TV番組制作会社バッド・ロボット・プロダクションズのオフィス所在地から取られているらしい(現在は移転している)。

www.badrobot.com

クローバーフィールドシリーズは実はすでに第4作まで作られているという。つまり、本シリーズは、SFベースの、謎めいたサスペンスホラー(そして基本的にどのシリーズも窮地を脱して”助かった!”と思った瞬間に、別のどん底に落とされるところも共通w)として、少しずつ異なるものの基本は同じ世界観で作られた、今はやりのユニバースタイプの映画(注)なのである。

(注)マーベル・シネマティック・ユニバースが有名。複数の映画を、同一の世界観のクロスオーバー作品として制作する手法

実際、これまでの3作では、シリーズを通して同じ時代または世界であるとは語られていないものの、常に同じ架空の飲料水メーカーのロゴが度々出てくることから、おそらくは同じ時空での話であることが想像できる。また、ネタバレになるので書かないが、第1作との強い共通項が本作では描かれている。なるほど、こういう手できたか、とニヤリとさせられるところである。

シリーズがいつまで継続されるかはまだわからないが、いつかは全ての謎が解明されて、そういうことだったのかっ!と膝を打つ瞬間をJ.J.エイブラムスが与えてくれるものと期待している。