2013年4月15日に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件を題材にした実話ベースの感動作品。
9.11以来の米国内での無差別テロに衝撃を受ける人々の様子と、それでも事件発生後わずか102時間(≒4日間)で犯人逮捕にこぎつけた警察、FBI、市民の結束と懸命の努力を丁寧に描いている。

実際に起きた無差別爆破テロの惨劇を描いた実話ベースの作品

オリンピックの次に歴史の古いこのマラソン大会、ボストンマラソン。毎年4月の第3月曜日に制定された祝日“愛国者の日”に開催されることになっている。この年、2013年の大会は117回目の開催であり、50万人もの観客を集めていた。

続々と走者がゴールインしていくにつれ、興奮と感動が大きく沸き起こるが、そんな中突然の大爆発が歓声を悲鳴と怒号に変える。警備に当たっていた警官たちはパニックに陥った群衆を抑えるのに懸命となるが、2度目の爆発が起き、現場は修羅場となってしまう。

事態の収拾に躍起になる警察の元にFBIの捜査官たちも駆けつけ、被害者たちの救出に一段落つけた彼らは卑劣な事件を起こした犯人の捜索へと動き始めるが・・・。

事件発生後から犯人の逮捕までの102時間を緊迫したトーンで描き出した、アクションサスペンス。

被害者救済と犯人逮捕に向かう、真摯な態度を丹念に描く

犯人は過激な思想を持つ若いイスラム教徒だったが、なぜ彼らがテロを起こすに至ったのか、という動機については細かく描かれてはいない。
しかし、彼らが逃走用の車を強奪した際に、持ち主である中国人の若者に「9.11は米国政府の自作自演」「米国政府の言い分は全て嘘」と話すように、是非はおいて、彼らが西欧社会のスタンスに抜きがたい不信感を持っている様子が描かれている。

実際のところ、テロは疑いなく卑劣な犯罪で、それを起こす者たちへの同情はありえない。しかし、自分たちに、テロリストたちにそうした行動を起こさせてしまっている何らかの問題があるということも自覚する必要はあるかもしれない。
本作ではテロリストたちがテロを起こす背景は描かず、あくまでその行為に対する米国民の反応を描き出しているが、かといって、一方的にテロリストを過度に断罪するような勧善懲悪的な作品ではない。ただただ、起きてしまった惨劇への悲しみと、理由はともあれそれを為した相手を捕まえるという手順を淡々と描いている。

主人公のトミー・サンダース刑事(マーク・ウォールバーグ)をはじめ、(実際に捜査に当たった警官やFBI捜査官、さらに被害者にいたるまで)本作における多くの出演者たちは、実在の人物を実名で登場させている。そのことがむやみにテロやテロリストたちへの憎悪を露わにした表現ではなく、とにかく事態の重大さに右往左往しながらも被害者救済と犯人逮捕に向かう、真摯な態度を丹念に描くというスタイルに本作を仕向けているのである。

映画『パトリオット・デイ』本予告(6/9全国公開)

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