そもそも「伝統のLツイン」エンジンって?
イタリアのボローニャに本拠を置くドゥカティが世界的バイクメーカーとしての今日の地位を築けた理由は、ひとえにレースでの栄光です。
そして、その栄光の歴史の中核を常に担ったのがデスモドロミックという機構を備えたL型2気筒エンジン。通称“Lツイン”エンジンでした。
キーマンはこの人!
ファビオ・タリアーニさんです。1954年にエンジン設計としてドゥカティに所属した彼は2年後の1956年に排気/吸気バルブを機械的に開閉できるデスモドロミック機構を125ccレーシングマシンに採用しました。
そして、初挑戦の世界GPデビュー戦で圧倒的な速さを見せつけたんです。
そのファビオ・タリアーニさんが1970年に世に送り出したのが750ccのデスモドロミックLツイン。1972年にはこのエンジンを積んだレーシングマシンがデビュー戦で1位・2位を独占。そこからレースの世界で大暴れして世界中に「ドゥカティのLツイン」の名を轟かせます。
その栄光の歴史を今日まで受け継ぐフラッグシップモデルが……
このスーパーバイク「1299 Panigale」シリーズ!
長い歴史の中で積み上げた最高の大排気量1285ccのLツインを搭載したピュアスポーツです。2気筒では困難を極めたはずですが、フルパワー仕様で最高205馬力を叩き出すという凄まじい完成度のLツインを搭載しています。
しかし! 主流はV4エンジンへ!?
Panigale S SPECIALE
しかし、ここにきて2018年モデルとして発表されたのが「パニガーレ V4」シリーズでした。
最高峰のレースMotoGPで戦うドゥカティのレーシングマシンで培ったV型4気筒の技術による「デスモセディチ・ストラダーレ」エンジンを搭載。今後のフラッグシップはV4へとスイッチしていくことは間違い無いでしょう。
Panigale V4 S
ドゥカティ史上初の量産型4気筒エンジンは13000回転でMAX214馬力を発生。ドゥカティ・コルセ仕様のマフラーを装着すると226馬力まで引き上げることができます。
確かにこれは「次世代のドゥカティ」というに相応しいと思います!
ちなみに余談ですが……
ドゥカティはWEB応募で全員にカタログがもらえるのって知ってますか?
2018年の総合カタログなんですけど『歴史の分岐点』としてのV4エンジン初登場のカタログですから、後々、持っておくと貴重になるかもしれません。
「INFORMATION ABOUT A MODEL」のところから申し込みます。
ちなみに英語です。でも怯むことはありません! ドゥカティジャパンさんに聞いてみたら「気にせず普通に日本語で入力でOKですよ~」とのこと(笑)。Search Dealerのところは自分の住所を入れれば勝手にコンピューターが探してくれます。勘でもけっこうイケます。
今後の希少性を考えたら、今年のカタログはもらっておく価値があると思います! 無料のせいか、けっこう既に応募があるみたいです。
貴重なタイミングだし、イタリア車のカタログって美しいから、部屋に飾ったりもできますよ。
伝統のLツインはどうなるの?
959 Panigale CORSE
もちろん、Lツインが無くなる訳じゃないんですよ。
伝統のエンジンは959パニガーレ・コルセとして残ります。排気量955ccのLツインを搭載。軽さを活かした、エッジの効いた走りを楽しめることになるでしょうね。
とはいえ、スタンダードとしては最後の1299
Lツインは959に受け継がれますし、2018年には1299パニガーレのファイナルエディションもあります。でも、ボクたちにいちばん近い1299パニガーレ Sなどは姿を消します。
気持ち的にはちょっと寂しいですよね。だから、もう一度1299に乗ってみたくなったんです。
誰もが楽しめるように作られている?
ご存知のかたも多いかもしれませんが、1285ccという排気量はレースのレギュレーションに適合しません。つまり、1299パニガーレっていうのはレースのためよりも、走ることを楽しむために生み出されたっていうことなんです。
1299 Panigale S/307万円
とはいえ、素人に乗れる代物じゃないんでしょ?と思うのが普通。でも1299パニガーレは違うんです。スーパースポーツが苦手な(ボクのような)ライダーですら楽しめます! 嘘じゃありません。
最大の武器は13.8kgm(日本仕様)もの大トルク
エンジンの力強さの尺度となるトルク値。これだけはターボなど過給器を使わない限り、排気量に準じます。だからトルクの太さだけは排気量1103ccの新型V4ですら1299に届きません。
この大排気量2気筒でしか味わえない力強さと扱いやすさ、今後は貴重になっていくんでしょうね。
基本的に2気筒はスロットルオンで後輪を路面に押し付けるトラクション性能において4気筒に勝ると言われます。しかもドゥカティのLツインは270度クランクで不等間爆発を採用しているので、さらに食いつくんです。
スロットルオンでズバァーン!と加速するのが超快感!? 最高出力200馬力オーバーなのに、アクセルを開けるのが楽しい……そして
飛ぶように走るんです、1299は!
もちろん後輪のスリップを抑制するトラクションコントロールやウイリーコントロールがあるから、僕のような普通の人にも楽しめるって話ですけどね(笑)
超絶パワーが怖くない
コーナーの侵入には最高峰のブレーキが助けてくれます。効きうんぬんのよりもコントロール性がものすごい。突然、狙ったとおりに減速できるブレーキの達人に変身できます。
そして!
これです。すべて自動でセッティングが刻々と変化する前後の電子制御アクティブサスペンション!
驚くことにボクが朝イチの寒い峠道でヨロヨロ運転していても、それに合ったサポートをしてくれるんです。
そうは言っても、上手い人にしか合わせてくれないんでしょ? と思っていたので本当に安心でした。これ、全部おまかせでOKだ(笑)
そして、Lツインのメリット!
4気筒よりも圧倒的にスリムな車体に設計できるLツインは、コーナーで車体がホールドしやすいんです。意識せずとも自然にコーナリングフォームが作り出せます。
しかも、L型は前方のシリンダーが大きく前に張り出していてフロント加重に貢献。確かな前輪の接地感を感じられるので、ハイパワーのスーパーバイクに恐怖を感じないんです。
タイヤが温まってくると、どんどん楽しくなる!
けっこう感動モノです。こんなのズルい。みんな、乗ったら絶対好きになっちゃいますよ?
走るのは好きだけど1285ccの超級イタリアンスポーツなんて自分に扱えると思えない……1299は、そういうライダーにこそ知ってもらいたいバイクだと思っています。
この美しさと、大排気量のトルクが生み出す運転のイージーさ。これは1299の価値だと思いました。
やっぱりスゴいな、ドゥカティって!
ところで、2018年のドゥカティは……
巷の話題はV4に偏りがちですが、クラシックや旅が好きなボクは、実はこっちにも注目してます。
スクランブラーに1100cc登場!
SCRAMBLER 1100 SPECIAL
こ、これはカッコいい…… 輝く2本出しのアップマフラーとかアルミフェンダーの金属感がたまらないです。黒いスポークホイールが新しいですね。
イタリアンデザインって、本当にどうしてこんなにカッコいいんでしょう。2018年の導入が楽しみ!
SCRAMBLER 1100 SPORT
こっちの「1100 SPORT」はかなりシャープです。前後のオーリンズ製サスペンションとカスタムパーツのようなキャストホイールが走りそうですよね。
この2機種のほかにスタンダードとして「SCRAMBLER 1100」もラインアップされます。これは早く乗ってみたい!
ムルティストラーダは1260ccへ!
Multistrada 1260 PIKESPEAK
ムルティストラーダは排気量を上げてきました。低~中速域がさらに強くなるとのこと。さっきの1299じゃありませんけど、トルクがあるバイクは扱いやすくて楽ちんで、パワフルですから!
アルファルト最速のアドベンチャーツアラーの座はこのバイクで確定でしょう。
もちろん主役はパニガーレV4!
最高に楽しかった1299パニガーレ Sですが、ドゥカティはそれを超える者としてV4を出してきたはず。
ちなみにボクは超レースファンっていうわけじゃないんですが、V4パニガーレは楽しみです。
なんというか……単純に美しいバイクが好きなんですよ。だから、さっきも書いた2018年の総合カタログプレゼントはけっこう魅力的に感じています。
さっきも書きましたけど、英語ページですがガンガン日本語で入力してOKです。けっこう人気みたいなので、みなさんも興味があったら是非どうぞ!
オートバイって、美しい。
機能美っていうだけじゃ説明できないほど、ドゥカティって常に本当に美しい製品を作りますよね。
現行車の1299パニガーレSでも、あれほどの完成度と美しさなんですから、V4など2018年ラインアップも日本上陸が今から待ち遠しい。
『オートバイはセクシーである』
伝統のLツインも革新のV4も、すべてのドゥカティに対して、ボクは本当にそう思うんです。