噂通り、東京モーターショー2017のカワサキブースでZ900RSの実車が展示された。
伝説の名車Z1そして国内専用モデルのZ2の面影を宿す、ヘリテージモデルでありながら、エンジンや足回りなどは最新の技術を投入された、見た目だけではない、走りも十二分に期待できる最新マシンだ。

KAWASAKI Z1(900 Super Four)の面影を宿した最新ネイキッドマシン Kawasaki Z900RSが正式にお披露目

1972年に発売され、欧米では爆発的な人気を博したZ1。そして、当時の日本国内の業界の自主規制(750cc超のオートバイは販売しない)のため、排気量を750cc(正確には746cc)に抑え、国内市場専用モデルとして1973年4月に発売開始750RS、すなわちZ2。

いまやこのZ1・Z2は、男カワサキを体現する空冷Zの始祖的モデルとして、日本国内の絶版車市場で空前の人気を呼び、状態の良いものでは数百万円の値がつくようになった。

今回東京モーターショーで公開されたカワサキのZ900RSは、そのZ1・Z2のオマージュとして作られたモデルと言っていい。メインのカラーリングは、Z1・Z2のイメージを踏襲するオレンジxブラウンのいわゆる「火の玉カラー」だし、そのタンクの形状もテールエンドのデザインもZ1・Z2そのままだと言える。当然ミラーもいわゆるZ2ミラーと呼ばれた黒い円型のものとなっている。

これでエンジンも空冷四発2バルブなら、Z1・Z2の再来、というよりゼファーの文法の復活となるのだが、さすがにそこは違う。水冷4気筒DOHC 900ccのエンジンは、最高出力111PS・最大トルク10.0Kgm と実にパワフルで現代的。

発売は12月1日とのことで、キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジのモデルが1,328,400円(税込)、メタリックスパークブラックが1,296,000円(税込)と、極めてリーズナブルな価格に収まっていると言えるだろう。Zの伝説を求めて高騰する中古車市場でZ1やZ2を買わずとも、Z900RSを進んで選ぶための後押しとなるはずだ。

ぱっと見は実にZ1ライク。詳しくない者なら区別がつかないかも?しれない。

フロントフォークは倒立型。もちろんディスクブレーキもダブルだ。

マフラーはさすがに4本出し、とはならなかった。

テールランプの形状はまさにZ1そのもの。

カスタムのベースマシンとしてのポジショニングも

ノーマルのZ900RSの左右には、左にMOTO CORSE、右にはBITO R&Dとドレミコレクションのカスタムが鎮座していた。
これは日本メーカーとしては珍しいアプローチではないだろうか?カスタムのベースマシンとしてのZ900RSのポテンシャルを誇示しているわけで、メーカーがカスタムを奨励するようなことはこれまで国内ではあまり表立って行われることはなかった。

BMWにおけるR nineTを中心としたさまざまなカスタムイベント、ハーレーのダークカスタムなどに触発され他メーカーは多く、確かに日本メーカーでもYAMAHAが欧州においてカスタムムーブメント”YAMAHA YARD BUILT”を推進したりと、メーカーが主体的に フレーム加工なしに、カスタムしやすいベース車両を提供して、ビルダーやファンを支援するという動きが世界的な潮流ではあったが・・・。

この流れに乗っていくことを、カワサキがモーターショーという場所で意思表明したことは実に感慨深いし、歓迎したいところだ。

黄色はBITO R&D、緑はドレミコレクションのカスタム

MOTO CORSEのカフェレーサー的カスタム

最後に、僕の感想を。

Z900RS。見た目は本当よくできている。217Kgという乾燥重量も実に軽くて使いやすそう。
パワートレインもいうことない。空冷ふうのフィンも好感度大だ。

そして値段もものすごく安い、ということはないけれど、十分抑えた価格だと思う。これは売れるんじゃないかな。

え?僕が買うかって??

だって愛するZII(僕は自分のZ2をZIIと呼ぶのだw)があるからね、買うことはないですよ、ごめんなさい、カワサキさん。
あ、でも、今後このZ900RSに信号待ちしているときに並ばれたり、首都高で抜かれたりしたら、なんとも複雑な気持ちになるんだろうな・・・性能じゃあ、全く歯が立たないからね。はい。