ひとつのゴールデン・エラの象徴的出来事
1957年のマン島TTはジレラ、モトグッツィ、MVアグスタといったイタリアの名門が、最高峰セニアクラス(500cc)で激突した最後の年でした。そして前輪を覆うダストビン・フェアリングの装着が許されたのも、この年限りとなりました。この大会のセニアTTで優勝したジレラのボブ・マッキンタイヤは、ついにマン島TT史上初のオーバー・ザ・トン=平均時速101.12マイルを達成しています。
この出来事は、イタリア3大ファクトリーのジレラ、モトグッツィ、FBモンディアルが参加していた1950年代のTT黄金期の象徴的な出来事のひとつとして、多くの人々の記憶に残っています。
今年のクラシックTTで行われた、今年度セニアTT王者のマイケル・ダンロップによるジレラ4気筒によるパレードラップは、60年前の偉業を現代に再現する試みといえるものでした。
現在のマン島TT最速ラップ保持者が、60年前の偉業をトリビュート!
マン島TTファンならおなじみのマイケル・ダンロップは、2016年のTTで16分53.929秒、平均133.962mph (215.591 km/h)というマン島TT絶対レコードの記録保持者です! その彼が60年前のボブ・マッキンタイヤの偉業を讃えるデモ走行で乗ったのは、当時の諸元を再現したカイ・エンジニアリング製のジレラ4気筒のレプリカです。
1957年を忠実に再現するため、マッキンタイヤと同じデザインを施したハーフ型ヘルメットに、黒のレザースーツに身を包んだダンロップは、のんびりと走るパレードラップではなく、ガチでエンジンをブチ回してジレラの咆哮を多くの観衆に鑑賞させてくれました。
こちらの動画はファン製作のものですが、いかに真剣にダンロップが走ってくれたかを示すものです。走行後ダンロップは「何度も5速ギアボックスということを忘れ、足で6速を探ってしまった」と言ってますが、普段乗るラジアルタイヤ、アルミフレーム、大径ディスクブレーキのモダン・スーパーバイクとは全く勝手が違う、バイアスタイヤ、鉄フレーム、ドラムブレーキの古いグランプリマシンを見事操っています。さすがですね!