この週末はMotoGPイギリスラウンド・・・で多くのモータースポーツファンはワクワクしていると思いますが、英本土のお隣のマン島では、伝統のクラシックTTが行われています。めっちゃ古い設計のモデルが、平均100mph(約160km/h)以上でぶっ飛ぶ、エクストリームなイベントです!

クラシックTTルーキーのJ.ブルックス(パトン)が優勝!

かつてのクラシックTT(マンクスGPのクラシッククラス)は、アマチュアのクラブマンレーサーが主体のイベントでしたが、その時代から1960年に活躍したマンクスノートンやマチレスG50など、英国製500cc単気筒市販レーサーが平均100mphを超えるペースで優勝争いをする、とてもクレージーなレースでした。

近年のクラシックTTのトレンドといえば、6月のマン島TTで戦うリアルロードレーシング(公道を用いたロードレース)界のトップライダーたちが、こぞって参戦することでしょう。昨年のセニアクラス(500cc)では、マン島TT現役最多勝のジョン・マクギネスがイタリアのパトンに乗り優勝を記録しています。

500ccの並列2気筒DOHCを搭載するパトンは1960〜1970年代に活躍したGPマシンですが、ここしばらくのクラシックTTではすっかり常勝マシンの地位についています。現地時間8月26日(土)に行われたセニアクラスでもやっぱり1位はパトンで、ライダーはBSB(英国スーパーバイク選手権)や鈴鹿8耐での活躍でおなじみのジョシュ・ブルックスでした!

ピットインするJ.ブルックス(パトン)。近年のクラシックTT最強マシンのパトンは、4位にも有名女性ライダーのマリア・コステロのライディングにより入賞しています。

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ブルックスの優勝タイムは1:22:11.712で、平均110.167mph(約177.3km/h)。ぶっちゃけ1,000ccのスーパーバイクに乗っても同じ速さで走れる自信ある人は少ないでしょうし、何より命が危ないです! なお、パトンは創業者の息子がビジネスを継いでおり、元々自分たちで作っていたマシンだから「これはレプリカではなく、オリジナル!」と主張しています。

かつてのクラシックTT(マンクスGPクラシッククラス)は、1960年代当時の純クラシックも走っていましたが、今ではパトンに限らずクラシックTTを走っているマシンの多くは、製造権を受け継いで現代の技術で作られた「レプリカ」です。良いキャスティング、精度の高い加工技術、進化したタイヤやオイルなどなど、1960年代当時の市販レーサーよりこれらレプリカが速いのは当たり前かもしれません。でも、当時の基本設計そのままのマシンが、マン島TTコースを平均100mph以上のハイペースで走るということには、驚嘆するしかありません・・・。

単気筒のマンクスノートンも頑張ってます!

なお2位に入賞したのは、単気筒DOHCの英国製市販レーサー、マンクスノートンに乗るジェーミー・カワードでした。3気筒DOHCのMVアグスタに乗るイアン・ロッカーとディーン・ハリソンという強力なライバルが早々にリタイアしたこともありますが、それでも平均109.412mphという記録を叩き出しての2位はスゴイのひと言ですね!

プラクティスでのJ.カワード(ノートン)の走り。単気筒でゆうゆう平均100mph超えの速さ・・・恐ろしいです!

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なお3位は、TTの名家であるダンロップ一族のひとり、ウィリアム・ダンロップ(ホンダ)が入賞。昨年彼の乗るデービス・モータースポーツのCB500Fourはそんなに良いタイムではなかったと記憶してますが、ダンロップのチームメイトのドミニク・ハーバートソンのマシンも5位に入賞していることから、今年は十分コンペティティブな力をつけてきたみたいですね。これからが楽しみなチームです。

この日は250ccのライトウェイトクラスも行われ、優勝はブルース・アンスティ(ホンダ)、2位はマイケル・ラッター(ドゥカティ)、3位はイアン・ロッカー(ヤマハ)と、マン島TTのビッグネームたちが表彰台を占める結果になっています。

この後クラシックTTは、現地時間8月28日(月)に残りの決勝であるジュニアクラス(350cc)とスーパーバイク(1,000cc)が開催されます。ジュニアにはニュージーランドのマッキントッシュレーシングからキャメロン・ドナルドがマンクスノートンで出場。スーパーバイクには今年のマン島TTセニアの覇者であるマイケル・ダンロップがスズキで出場します。どんなスーパーラップが飛び出すか・・・乞うご期待です!