本日7月30日の19:30・・・"コカ・コーラ"鈴鹿8耐の決勝がゴールを迎えました! 2度のセーフティーカーの介入により、周回数記録の更新はありませんでしたが、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームが圧巻のレース運びで見事3連覇を、3年連続ポール・トゥ・ウィンで達成しました!

無念! ヨシムラは序盤で転倒・・・(涙)

この日鈴鹿サーキットは朝に雨が降っていましたが、スタートの11:30はドライでスタートすることができました。ルマン式スタートで始まった決勝! ホールショットをとったのはカワサキのレオン・ハスラムでしたが、すぐにホンダの本命チームの高橋巧が首位を奪取! そしてヤマハの日本人エースである中須賀克行もハスラムをパスし、高橋を追撃します!

そしてナント! 予選2位のヨシムラのエース、津田拓也は2周目で転倒! 超スプリント耐久の"コカ・コーラ"鈴鹿8耐では、かなり致命的なミスでした・・・。その後、首位の高橋を中須賀が背後にピタリとつける展開が続きます。ファクトリー仕様のムサシ RT ハルク-プロ ホンダのCBR1000RR SP2は、過去2年最強マシンの名をほしいままにしてきたヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームのYZF-R1に対抗できる速さを備えていました!

逃げる高橋(ホンダ)と追う中須賀(ヤマハ)。この2チームの優勝争いを予想させる序盤の展開でした・・・。

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その後、西コースで路面の濡れが確認できるくらいの雨が降り、波乱の展開が訪れるか・・・と思わせます。この危険なコンディションのなか、最初のライダー交代の時期が近づきますが、転倒による最初のセーフティーカー導入が行われます。このとき、ピットタイミングの運が悪かったF.C.C. TSRホンダが割りを食うかたちで後退してしまいます。

セーフティーカーが去った直後、目立ったのは高橋からバトンタッチされた現役MotoGPライダーのジャック・ミラーでした。バックマーカーをかき分けてグングン前に行き、中須賀から交代した首位のアレックス・ローズをパス! しかし、コースがクリア状態になるとローズがYZF-R1のポテンシャルを活かした走りで再び首位浮上! ローズ、ミラー、そして少し離れてF.C.C. TSRホンダのランディ・ドゥ・プニエというトップ3のオーダーになります。

ムサシ RT ハルク-プロ ホンダとヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの僅差の争いという構図が崩れたのはそれぞれ3番手の中上貴晶 vs マイケル・ファン・デル・マークのスティントの時でした。首位マイケルで、それを追う中上・・・という展開の71周目。中上がヘアピンで痛恨の転倒! その後ピットインしてすぐにコース復帰しますが、これでヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームはグンと楽な展開になったのは言うまでもありません。

90周を消化した時点で、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームへの挑戦権を堅持していたのは2位のF.C.C. TSRホンダと3位のチームグリーンですが、1位と2位の差はすでに54秒829・・・。なんらかの大きなトラブルがヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームに襲いかからない限り、3連覇への視界は良好という雰囲気が漂い始めました。

2分6秒台という驚異のファステストラップ!

ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームがどれだけ頭抜けていたのか、を示すひとつの記録があります。それはローズが2回目のスティントで記録した2分6秒932という鈴鹿8耐史上最速のファステストラップです。"コカ・コーラ"鈴鹿8耐は耐久スプリントとは良く言いますが、6秒台をレース中に出すとは正にガチ・スプリントというペースです!

6秒台という驚異のラップを決勝中に刻んだA.ローズ(ヤマハ)。きっと吉川監督は「そんなに飛ばさなくていいよ」と思ったのでは?(笑)

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その後しばらく首位争いは、ヤマハは盤石で2位以下の争いがどうなるか・・・という展開が続きます。F.C.C. TSRホンダ、チームグリーン、そしてムサシ RT ハルク-プロ ホンダの表彰台をかけた戦いが続きますが、中上の転倒による影響かCBR1000RRのヘッドライトが点灯したり消えたりを繰り返し、そのピットインでムサシ RT ハルク-プロ ホンダは後退・・・ヤマハに対抗できる速さを唯一決勝で見せていたチームだけに、残念でした・・・。

2回目のセーフティーカーの後にドラマが!

午後6時ころ・・・ゴールまで残り1時間半という時間帯に、転倒による2回目のセーフティーカーが導入されます。2周ほどでそのコントロールは解除されましたが、なんとなんと波乱が発生! 2位を走るF.C.C. TSRホンダのランディ・ドゥ・プニエのCBR1000RR SP2のアンダーフェアリングのあたりから炎が起こり、ピットインを指示するフラッグがサーキットのオフィシャルから提示されます!

F.C.C. TSR ホンダの助っ人ライダーとして活躍したランディ・ドゥ・プニエ。SBK(世界スーパバイク選手権)ライダーのステファン・ブラドルの代役に起用されたジョシュ・フックは結局リザーブ扱いで、ドゥ・プニエとドミニク・エガーターの2名がファクトリー仕様のCBR1000RR SP2を駆りました。

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ドゥ・プニエが緊急ピットインしたため、その間に連続2スティントを走行していたチームグリーンのハスラムが2位に浮上! 最終走行を担当したA.ローズは危なげなくチェッカーまでYZF-R1を導き、見事史上初の"コカ・コーラ"鈴鹿8耐の同一チーム3連覇を達成しました!

さらに、ヤマハのFIM EWC(世界耐久選手権)レギュラーチーム、GMT94 ヤマハが11位で完走したため、それまで僅差でランキング首位に立っていたSERT(スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)をポイントで逆転! 今期のチャンピオンになりました。これでヤマハは鈴鹿4耐、鈴鹿8耐、そしてFIM EWC年間王者の3冠を、今大会で決めたことになります!

ファクトリー復帰初年度から、3年連続で鈴鹿8耐優勝を達成したヤマハYZF-R1。

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また序盤に転倒したヨシムラ スズキ MOTUL レーシングが、猛烈な追い上げで7位までポジションを回復したこと。そしてチームグリーンが2年連続で首位と同一周回の2位をゲットしたことも、賞賛に値する大活躍に違いありません! 節目の大会で覇権奪回できなかったホンダ勢は・・・来年の奮起を期待したいですね!

2回セーフティーカーが介入しての216周という記録は、何事もなければもっと伸びていたに違いません。今回目標にしていた219周は、来年度以降のヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの宿題になりました。なにはともあれ、ヤマハのみなさん&ヤマハファンのみなさん、おめでとうございました! そしてすべての"コカ・コーラ"鈴鹿8耐ファンのみなさんと参加者のみなさん、お疲れ様でした!

第40回 "コカ・コーラ"鈴鹿8耐 決勝
1位 21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 216Laps
2位 11 Kawasaki Team Green        +2'09.052
3位 5  F.C.C. TSR Honda          1Lap
4位 634 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda   2Lap
5位 7  YART Yamaha Official EWC Team   4Lap
6位 104 Honda Dream Racing         4Lap
7位 12 YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING 4Lap
8位 22 Satu HATI. Honda Team Asia       5Lap
9位 03 MotoMapSUPPLY FutureAccess     5Lap
10位 72 Honda Dream RT 桜井ホンダ      5Lap