"コカ・コーラ"鈴鹿8耐も、いろいろ開催まで秒読みですね! さて今シーズンのFIM EWC(世界耐久選手権)は、16.5インチの足まわりを使えることになっています。タイヤメーカーの開発の軸足が17インチに移った今、16.5インチと17インチでは、どちらを使ったほうがモア・ベターなんでしょうかね・・・? 気になります。

連覇中のヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームは、16.5インチ!

ロードレース用のタイヤの16.5インチと17インチ、わずか0.5インチだけの違いでしょ・・・? と多くの人は思うかもしれませんね。しかし12.7ミリ・・・指一本の太さの差で、大きなグリップ力の差が生じるのです。

タイヤのホイール径には16.5インチのものと17インチのものが存在。タイヤ全体の外径は同じであるため、16.5インチホイールのタイヤの方がタイヤの横の部分(サイドウォール)のゴムの面積が広くなり、よりグリップ力が高くなります。全日本ロードレースJSB1000では17インチに限定されていますが、FIM世界耐久選手権では鈴鹿8耐まで16.5ンチホイール用のタイヤ使用が認められています。

なお先日、ブリヂストンのサイトに、非常に興味深い情報が掲載されてました。ご存知のとおりブリヂストンは2006年大会から、昨年度まで鈴鹿8耐で連勝!し続けているタイヤメーカーです。長丁場の鈴鹿8耐は天候やトラブルなど様々な要因が絡んでくるので、勝敗を予想するのが非常に難しいレースではありますが、順当ならば今年もブリヂストンユーザーのチームが勝つのでは・・・と考える人は多いと思います。

ファクトリー系のチームでは、今年はヤマハ2チーム、カワサキ1チーム、スズキ1チーム、そしてホンダ2チームがブリヂストンを使用しています。気になるのは、これら有力チームが16.5インチと17インチ、どちらを使うのか?ですが、記事中でブリヂストンの山田宏さん(日本タイヤモータースポーツ・イベント推進ユニット 課長)は、各チームの選択を紹介してくれています。

使用するタイヤに関しては、上記6チームのうち、#21ヤマハ、#11チームグリーン、#12ヨシムラが、昨年使用した16.5インチ、#634ハルクプロ、#5TSR、#7YARTが17インチと分かれています。この辺りもタイヤの性能をどう引き出せるかがポイントとなるでしょう。

2016年は218周で優勝したヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム。今年は新記録の219周を視野に、3連覇を狙います!

www.suzukacircuit.jp

ホンダのファクトリー系はすべて17インチで勝負!

昨年はゆとりをもったピット作業をするほど、他を圧倒する速さを見せたヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームですが、今年度のマシンのYZF-R1は従来型の熟成型で、ライダー3名中2名は昨年と同じです。非常にチームとしてのパッケージが完成しているので、タイヤも昨年と同じく16.5インチにするというのは、シュアな選択と言えるでしょう。また昨年2位のチームグリーン、そして3位のヨシムラ・スズキ・モチュール・レーシングも、表彰台をゲットした実績のある16.5インチを選ぶことになんら不思議はありません。

今年のヨシムラ・スズキ・モチュール・レーシングは、新型となったGSX-R1000を使用します。

www1.suzuki.co.jp

さて、今まで優勝を2年連続で逃したのはわずか2回(1987〜1988年と2015〜2016年)という、鈴鹿8耐の常勝軍団であるホンダのファクトリー勢は、F.C.C. TSR ホンダ、ムサシ RT ハルクプロ ホンダ、そしてピレリタイヤユーザーのモリワキ・モチュール・レーシングのいずれも17インチを選択しています。

実質1年開発が止まっている16.5インチよりも、現在開発進行中の17インチを使ったほうがアドバンテージあり・・・とホンダ勢は考えているのかもしれません。しかし、16.5インチタイヤはグリップ力のほか、昨年表彰台に上がった3チームが残したデータ、そして過去数年間の「鈴鹿8耐本番」での貴重なデータの蓄積があり、これはこれで大きなアドバンテージと言えるでしょう。

ステファン・ブラドル、ランディ・ドゥ・プニエ、そしてドミニク・エガーター(左より)を起用した、F.C.C. TSR ホンダ。マシンは今年新型となったCBR1000RR SP2のファクトリー仕様です。

www.honda.co.jp

今年の"コカ・コーラ"鈴鹿8耐は、同じブリヂストン・ユーザーのファクトリー系チーム間の「16.5インチ vs 17インチ」というタイヤ競争が楽しめる唯一無二の年となりました。見どころの多い今年の鈴鹿8耐ですが、どのような結果が出るか楽しみです!