1996年製作・ダニー・ボイル監督のイギリス映画。ユアン・マクレガーの出世作。
最近、続編「T2 トレインスポッティング」が公開されて話題になった1作目を改めて鑑賞した。ヘロイン中毒の無軌道で定職にもつけないスコットランドの若者たちの、どうしようもない日常を描いてヒットした。便器にへばりついたちり紙のような悲惨な生活を送る若者たちの青春だが、それでも陽気で能天気なタッチで表現されていることが救い。

ヘロインに始まりヘロインに終わる、どうしようもないクズの青春物語

ユアン演じるレントン、スパッド、ベグビー、シック・ボーイ、そしてトミーの5人は、スコットランドのエディンバラで暮らす若者。定職もなく、将来の夢も希望ももてず、ヘロインに溺れ、セックスに逃げ込むだけの毎日。

このままなにもせず老けていくだけなの?とガールフレンドに嘲笑気味に投げかけられた問いにショックを受けた主人公のレントンは、ロンドンに出て不動産仲介屋に勤めて更生したかに見えたが、できそこないのままのベグビーとシック・ボーイに家に押しかけられて、結局故郷に戻る。
仲間の一人、トミーは、唯一ヘロイン中毒でなかったのだが、恋人に去られたことをきっかけに薬に溺れ、エイズを発症し、やがて死んだ。

このままではいけない。残された4人はそう思うのだが、行動を移す方向が違った。彼らは偶然仕入れた大量のヘロインをさばいて大金をせしめる計画を立て、ロンドンに向かうのである。

ちなみに、続編となるT2は、スパッド、ベグビー、シック・ボーイと袂を分かったレントンが故郷に戻るところから始まる・・・。逆に言うと、T2を観る前に、実はまだ見ていなかった本作を観た、というわけだ。

社会のクズの話。でも自分の中にも彼らがいた、という想いを止められない

本作は、90年代のスコットランドの閉塞的な社会に生きた若者たちを描いている。
日本で言えばさしづめ1970年代「傷だらけの天使」に通じる感覚かもしれない。

正直言って、十二分に大人になった今見ると、どうしようもなく無軌道で腐った若者たちの生き様は、あきれるほかないし、ほとんど共感することもできないのだが、20代はじめの自分だったら?と考えると、また違う見方もできる。なぜか息がつまるような気持ちを抑えきれない社会にあって、小刻みに暴発することでとりかえしのつかない爆発を避けて生きている若者たち。同じような若者は今でもいる気がするし、自分も若い時はそうだったような気がするのである。
主人公レントンは、物語の最後である大きな決断をする。そのことで、堅気となって、大型テレビと冷蔵庫(など)を手に入れて、堅実な住宅ローンを組める生活を目指すのだが、T2では果たしてそれは実現しているのだろうか。

トレインスポッティング(字幕版)

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