去る5月27〜28日、標高2,000m超の浅間山山頂に向かうワインディングロードを閉鎖し、開催された「浅間ヒルクライム」。コース脇からは家族連れやこどもたちが笑顔で手を振り、参加者と観客の距離がとても近いイベントです。モータスポーツ文化を根付かせようと奮闘する、5年目を迎えたタイムトライアル競技を紹介します。 ©浅間ヒルクライム

数々の名マシンが、浅間のワインディングを駆け抜ける!

浅間ヒルクライムは、浅間高原と小諸市を結ぶ「チェリーパークライン」を一時閉鎖し、上り区間で設定時間通りに走ることを競う、タイムトライアル競技です。といっても、マン島TTのように速さを競うのではなく、設定タイムも緩やか。自慢の愛車をお披露目する、エキシビション要素が濃いものです。 ©浅間ヒルクライム

4輪142台に対し、モーターサイクル部門は21台の参加とまだ少数。それでもインディアン・スカウトにトライアンフ・ストリートトリプルRS、ヤマハSR500カフェなど、バラエティに富んだエントラントが集まりました。HRCからは、CBR1000RR、CBR250RR、CRF450RALLYが参加、モーターサイクルファンを喜ばせました。 ©浅間ヒルクライム

タイムトライアルだけではなく、小諸市内中心地を巡るパレードランも行われました。これだけに参加する2輪/4輪もあって、市街地は華やかなムードに包まれました。多くの観客が笑顔で手を振り、ライダーやドライバーもそれに応える・・・このコミュニケーションこそ、観客がイベントを身近に感じる大きな要素になっている気がします。 ©浅間ヒルクライム

タイムトライアル区間を走破し会場に戻る、サイドカーと観客のコミュニケーションも暖かい。道路脇ギャラリーのリクエストに応え、ハイタッチならぬロータッチで、パッセンジャーが手を差し出していました。こどもがタッチできるよう、速度を落とし対応する気遣いも。好き者が周囲を優しく巻き込み、モータースポーツを浸透させています。 ©浅間ヒルクライム

4輪のエントラントは、ポルシェ 987CAYMANから、スズキ隼のエンジンを使用したフォーミュラ隼、ルノー アルピーヌA110、トヨタ スターレットKP61等々、美しく、懐かしいクルマが勢揃い。おじさんには涙ちょちょ切れもののマッハ号もありましたが、少年の目には懐疑の色が…? ©浅間ヒルクライム

珍しいクルマとしては、POLARIS社のオフロードビークルも登場。他社に比べ随分と高い車高と畑違いの装備を持つものの、タイヤをターマック用に履き替え、ヒルクライムに挑んでいました。軽量な車体と、925ccながらターボ付きエンジンのパワーで、活発な走りを披露。 ©浅間ヒルクライム

これからの発展にご期待ください!

©浅間ヒルクライム


モータースポーツを楽しむオトナの姿を、こどもが身近に見る機会を作る。日本のレース史を切り拓いた場所で、浅間ヒルクライムが挑戦しているのは、モータースポーツを文化として根付かせるための活動に思えました。自分の仕事を終わらせた後に自走で全国から集まり、無償で協力しているオフィシャルをはじめ、多くの素敵なオトナたちがサポートをし、育んでいるこのイベント。こどもたちが、クルマとバイクと戯れるオトナを見て、憧れる、そんなモータースポーツとして、成長を続けてほしいと思います。