©鈴鹿サーキット/(株)モビリティランド
"コカ·コーラ"鈴鹿8耐の歴史のなかで、多くの人々の記憶のなかに残るマシンたちを紹介する連載です。今回は1999年からXフォーミュラクラスに挑んだ、名門TSRのAC系です!
独自開発のマシンで参戦!
長いグランプリの歴史で、日本のプライベーターが作ったマシンがGP制覇した例は少ないですが、そのすべてはTSR(テクニカルスポーツレーシング)のACシリーズが達成したものです。独自開発の車体を持つACシリーズをデザインしたのは、当時TSRに在籍していた天才設計者、光島稔でした。
世界ロードレースGPに焦点を当てたACシリーズのなかで、鈴鹿8耐用に作られたAC90系は異色のマシンと言えるのかもしれません。1990年代後半からスタートしたスーパーネイキッド・XフォーミュラクラスにTSRは参戦を開始。1999年には独自開発のAC90Mで青木治親/小西良輝組が参戦し、33位のリザルトを残しています。2000年は小西/前田淳がAC91Mで参戦。クラス4位・総合12位を記録しました。
AC91Mは2001年の鈴鹿8耐にも小西/嘉陽哲久組に託されましたが、予選は総合13番手(クラス3位)ながら、決勝は総合49位に沈みました・・・。
公道用バージョンAC91Mも発売!
TSRのAC91Mが話題になったのは、鈴鹿8耐の舞台のなかだけではありませんでした。なんとTSRはAC91Mのストリートバージョンを限定10台・360万円で発売したのです!
グランプリで培われた技術を盛り込んだマシンが、たったの360万円・・・TSRは1台売るたびに、相当の赤字を被ったことは想像に難くありません。2007年以降のルール変更で、Xフォーミュラ系のマシンは鈴鹿8耐を走る機会を失うことになりますが、TSRが2006年大会でXフォーミュラ系唯一無二の総合優勝を飾ったことは、永遠に鈴鹿8耐の歴史に刻まれる偉業と言えるでしょう。