1975年から始まった、FBI、ギャングスタ、そして政治家の癒着による汚職事件。
FBI捜査官のコノリー、急成長中のギャングスタ ジミー・バルジャー、ジミーの弟であり政治家のビリー・バルジャーの3人は同じダウンタウンで生まれ育った幼馴染だった。
イタリア系マフィアのとの勢力争いを続けるジミーは彼らを壊滅させるため、出世欲の強いFBI捜査官のコノリーと密約を結ぶ。彼らはそれぞれの野望に忠実であるがゆえに悪の道を突き進むが、やがてメディアに嗅ぎつけられ、彼らの共謀は白日の下に晒される。実際に起きた米国最悪の汚職事件をテーマに描き出された、上質のクライムストーリー。

実際に起こった史上最悪の汚職事件を背景としたクライムサスペンス

左からFBI捜査官のジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)、ギャングのボス ジミー・バルジャー(ジョニー・デップ)、政治家のビリー・バルジャー(ベネディクト・カンバーパッチ)

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事の発端は、出世欲に駆られたコノリー捜査官が、イタリアンマフィアの大物の摘発のために、彼らと敵対しているアイルランド系ギャングのボス、ジミー・バルジャーに取引を持ち込んだことにある。FBIからすれば 毒を以て毒を制す、であり、ジミーからすれば 敵の敵は味方 だ。

欲に駆られた男達は徐々に、いや、加速度的に相互依存を深め、抜き差しならない関係になっていくが、共通の敵であるマフィアの弱体化の反作用のように、ジミー・バルジャーの勢力は拡大していく。そしてマフィア壊滅の大義名分にのめり込みすぎて、別の悪魔に魂を売ることになったコノリーらFBI捜査官は抜き差しならぬ泥沼にはまり込む。まさしく闇を覗くものはまた、闇からも覗かれているというニーチェの言葉通りの展開になっていくのである。
ジミー・バルチャーとコノリーの癒着はやがて明るみになり、彼らは罪に問われ、二人と距離を置いていたはずのビリーも、実の兄の悪事への加担こそ否定したものの、政治生命は断たれることになる。

悪事をするなら誰も見ていないところで、が信条だった男の誤算

映画の前半部で、ジミー・バルジャーは、学校で級友を殴って問題を起こしたという息子に「大事なことは、誰もいないところで殴ることだ。誰も見ていなければ、何も起こらなかったということだ」と教える。

これは彼の哲学そのものであり、この映画の本質、核と言っていい。しかし、本来であればそうした用心深さと抜け目なさを武器としていたはずのジミー・バルジャーは、FBIの後ろ盾を得たことで一気に勢力を伸ばすが、その過程であまりにも大胆になりすぎて(白昼堂々と殺人を犯したりと)墓穴を掘ることになるのだ。

実はかなり早い段階でジミーは息子をライ病で亡くす。それをきっかけに、彼は本来の哲学を失っていったのかもしれない。

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