デカくて強そう! でも軽くて速いって、どうなってるんだ!?
ついに乗りました。話題の150ccロードスポーツ“GIXXER/ジクサー”です! いやもう色々とビックリすぎて何から伝えていいのやら……。とりあえずボクは「バイクはカッコいいことが命」派なので、まずはスタイルからいきます。見てください、上の写真。ボクの身長は176cmですよ?大人の男が跨って、このデカさです。ボクは基本的にデッカくて偉そうなバイクが好きなので、ちんまりしているとメインバイクとして考えられないんですけれど、ジクサーは完全に主役級でした。
身長163cmの女性にとっては、もはや「偉そう」に見える貫録
モデル/国友愛佳
最初は身長176cmの男が乗ったら、ジクサーがいくら大きいって言っても、さすがに小さく見えちゃうんだろうナァ……と思っていましたから、今回は女性ライダーも召喚したんです。まぁ結局、男が跨っても小さく見えなかった、っていう結果だったんですけどね(笑)
というか、身長163cmの愛佳ちゃんが乗ったら小さいどころか、もはや「デカい」というべきレベルになってしまいました。貫録は充分です。全長とか、車種によっては250cc以上に大きい部分もあるので当然かもしれませんけど、現実としてジクサーは150ccですよ?未だに信じられません。
街中でこんな女性ライダーを見つけたら、我々男性ライダーはメロメロ確定だと思います。
そして愛佳ちゃんが跨った瞬間に、ひとこと。
「うわ、軽っ!」
そうなんです。サイドスタンドから引き起こす時の軽さが異常に軽い。なんでしょう?見た目がデカいから、無意識にそれなりの気合いを入れて引き起こそうとするのかもしれません。男性は注意しないと、引き起こした勢いで逆側にひっくり返りそうになって驚くかも(笑)250ccみたいに大きいのに、軽さというメリット部分は150ccクラスのまま。確認したら車両重量135kgってオイ! どうなってるんだ、ジクサー!?
身長163cmの女性の場合の足着きはこんな感じ。ジクサーのシート高は785mmで、彼女は両足のツマ先が接地します。ツマ先だけじゃあ……と不安になりますか? 愛佳ちゃん的には「すごく軽いからツマ先で余裕」らしいです。
走りも超パワフル。ジクサーはガッツのあるバイクです!
わかりやすく言います。時速80kmまでなら250ccとほとんど差はありません。そりゃあ、一緒に乗り比べたら違うのかもしれませんよ。今回はジクサーだけ乗ったからそう思ったのかもしれません。でも「250でも加速ってこれくらいだよな」と思いました。嘘じゃありません、本気です。
スロットルを開けて気持ちよくシフトアップしていくと、自然に60km/hくらいのクルージングに落ち着きます。がんばって走らせている感じはありません。ジクサーにとっては余裕アリアリの速度レンジなんでしょうね。最高出力は14馬力です。14馬力って、こんなに速かったっけ?
空冷単気筒エンジンは8000回転で14馬力を発生します。単気筒とは思えない振動の少なさ、滑らかな吹け上がりに、スズキの技術ってすごいな……と感心しました。
ちょっと高速道路も乗ってみましたが……
150ccは高速道路に乗れますからね、これも嬉しいところ。なので試しに乗ってみました。高速道路というステージでは150ccの排気量は最小クラスです。さすがに排気量に勝るクルマたちに翻弄されるだろうから、ここは左車線を粛々と走るしかないだろうと思っていましたが……なんだこの100km/hでの余裕感!?
マジか……普通に100kmから加速して追い越しだってできますよ。車体がデカいせいか、むやみにアオられたりすることもありません。恐ろしいほど真っ直ぐ、どっしり安定して走るんです。インドで13ものバイクオブザイヤーを一気に獲得したという肩書、伊達じゃないですね!
150ccとして考えるとパワフル、じゃありません。本当に充分に速い。スズキってやっぱりエンジン造りの名手ですね。
ところで余談ですが、高速道路の料金所のオジちゃんに「カッコいいね、コレは排気量いくつ?」と聞かれて「150です」と答えたら、オジちゃん、ちょっと焦ってました(笑) 「150ccは高速道路OKですよ!」 っていうやりとりに、何故かニンマリです。
タンデムもしてみましたが普通に余裕でした。もし学生の頃にこのバイクがあったら、ボクはジクサーでの密着タンデムを夢に見ていたに違いありません。
こういうバイク、今まで無かった。
小排気量車にありがちな安っぽさが見当たらず、すべてがデザインされています。それを引き立てる車格、大きさも充分。でも走りは充分なパワーと150ccの軽さを活かして、きちんとスポーツに仕上げられています。そのうえ、ロープライスで現実的に買える! よく考えると、最近こういうバイクって無かったなと気が付きました。偉いぞ、ジクサー!
ホイールデザインもスポーティだし、ゴールドのブレーキキャリパーが高級感バリバリです。ちなみにBYBREはブレーキ最高峰ブランド「ブレンボ」のセカンドラインで、品質もお墨付きってわけです。
ものすごく丁寧にデザインされたことを感じるタンクです。容量は12Lなんですが、それより言いたいのは燃費です。メーターの燃料計がいつまでたっても減らないんです。ようやく1目盛り減ったとき、逆に安心しました。
150ccですからタンデムもOKです。座面が広いので後ろに彼女を載せても快適に走れますよ。ソロで乗っている時は、ライダーの自由度が高いのでスポーティな走りも楽しめてしまいます。
マフラーがカッコよすぎます。このデザインは新しい! ショートタイプで重量マスの集中化にも役立っていて、安定感のあるハンドリングを生み出しています。排気サウンドも気持ちいい元気さでした。
真に恐るべきは「誰も150ccだと気づかない」こと
いやぁ、250ccはもちろんイイんですけれど、ジクサーに乗ると「250ccじゃなくても良くない?」って思っちゃいます。だって、走りもデカさもスタイルも全部ジクサーだと満足できちゃいますから。
無理して大きなバイクに乗って、月に1度、乗るか乗らないかって毎日よりも、軽さと気軽さに圧倒的なアドバンテージのあるジクサーで、サッと走り出して「日常のライフスタイルにいつもバイクがある暮らし」を楽しむほうがライダーとして充実できそうですしね。しかも、新車で買いやすい値段っていうのは、やっぱり魅力じゃないですか。
リラックスした乗車姿勢です。長時間乗っても疲れにくそうですから、ツーリングもイケそうです(モデル身長163cm)。ちなみに身長176cmのボクも窮屈さは一切感じませんでした。
ジクサーの全てを物語る、最後の一幕
そして、もうひとつ。ジクサーのスゴさを思い知る、凄まじいシチュエーションが最後にありました。撮影と試乗で半日くらい走ってから、会社のガレージ内に戻って愛佳ちゃんに聞いたんです。
「150ccってどう?」
「え? 150cc? どれですか?」
「いや、今、跨ってるソレね」
「え? え? え? (混乱中)」
「ジクサー150ccだからね?」
「え……(茫然)」
うおおお……スゲェ……彼女、ずっと150ccって気づいてなかったんです。「朝に跨った時から軽くて安心して、速いし乗りやすいから、怖くないし」と言い訳ぎみに、モゴモゴと何かを言いつづける愛佳ちゃん(笑)
つまり、先入観の無いライダーが乗ったら、ジクサーは本当に150ccに感じられないってことです。先に書いた「ジクサーを褒めてくれた高速道路の料金所のオジちゃん」も驚いてましたし、いろんなバイクに乗っているボクも「これが150cc!?」って、いろんな部分が目からウロコでした。
ボクはこれ、実は「すごいこと」なんじゃないかと感じています。みなさんはジクサーというバイクを、どう思われますか?