当時、ほぼ生産型といわれていましたが、残念ながら販売されることはなかったコンセプトカー「ロータス エトナ」
バーミンガムのイギリス国際モーターショーではじめて公開されました。
ちなみに“エトナ”とは、イタリアシチリア島の火山(エトナ山)が由来なのだそうです。
エスプリ、エリーゼ、エクラ、エトナ…、ロータスの名前は“E”の頭文字で始まるこだわりは、このころからすでに徹底されていますね。

ロータス エトナ(1985年)

モーターショーの終了とともに、その運命も閉じるショーモデルと違い、エトナは生産化の可能性が高いことで注目されている。ちょうど現在のエスプリのケースと同じように、ロータスはデザインからコンセプトの創造までイタル・デザインとのパートナーシップによって推進し、1988年までに生産化のメドをつけたいといっている。

美しいウエッジ・シェイプは銀の弾丸と呼ばれるにふさわしい

コンセプトはエスプリの延長線にあるミッドシップ・2シーター・スポーツカーだが、ロータスで開発した4バルブ・4ℓV8エンジンを搭載することで、928がターゲットと考えられるスーパー・スポーツに仕上げられることが特徴である。

ロータスのVARI(Vacuum Assisted Resin injection)と呼ばれる樹脂加工法で作られるプラスチック・ボディの構造は、上と下の二つの部分を接合し、前後サスペンション取り付け用サブ・フレームを設けたモノコックである。材質は上部構造にカーボン・ファイバーとケブラーの混用で、着色ガラス・パネルをまとい、着脱式ルーフをもつ。ウエッジ・シェイプのボディ空力係数はロードトリムで0.29という。ロータスのアクティブ・ライド・サスペンションやアンチロック・ブレーキなど電子制御化はもちろん進められ、レーダーによる近接物体の警報システムも備える。

注目の縦置き4バルブ・90度V8は909エンジンと呼ばれ、軽合金製のために既存の4気筒エンジンより1.8kg軽く、11.2の高圧縮比をもつリーン・バーンが特徴だ。ロータスではこのエンジンの生産については、大メーカーとの提携を考えているため、燃料供給方式は3タイプの噴射式とIタイプのキャブレター式を用意している。最高出力は330PS/5500rpmを公称。ターボ化にすれば600PSが可能という。性能は計算上で最高速度293km/h、0-100km/h 4.3秒の加速性能を与えられている。ミッション式は手動式5速だが、ロックアップ式ATも実現性が高い。生産化はV8エンジンの製造問題が解決すれば意外に早い、と期待されている。 ©世界の自動車年鑑