10年ぶりに偶然出会った、別れた恋人同士。かつて二人はオートバイを介して絆を深めていたが、男は既にオートバイを降りていたー。大人の男と女が描く、古くて新しいラブストーリー。
『オートバイ 2017年 2月号』特別付録『RIDE』掲載「On The Way」より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
『オートバイ 2017年 2月号』特別付録『RIDE』掲載「On The Way」より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
彼女の視点2:かつての恋人は変わってしまったのか?
あれ以来、私と彼は毎晩のように会い、酒を飲み、話をした。まるでかつての二人のように。
いや、でも違う。二人は男と女にはなっていない。
彼はオートバイを降りてしまったように、私をもはや恋の相手としてはみようとしないのだろうか。私は昔の私ではない。幾多の恋愛を重ね、結婚には失敗し、十分な経験を積んだ大人の女なのだ。
バイクに乗らないあなたは、もう私と共に走りだそうとはしないのだろうか。煮え切らない彼と、時間を使っていくことは、もはや無駄なのだろうか。
私は、ZRXを走らせながら思った。
私があの頃の私ではないように、彼もまたあの頃の彼ではない。それはわかってる。
でも、再び走り出すことはできないものか??
来てよ。私を求めて、奪って!私は心の中で叫んだ。
そのとき、一台のバイクが私の後方から迫って来た。
カムバック。まだ終わりじゃない。