高校生の単車チーム名をそのままタイトルにした「湘南爆走族」。いわゆる「族」を主人公にした本格コミックは、この「湘爆」までなかったが、いわゆる不良少年の物語ではない。「番長もの」のように次々と強敵が現れるわけではなく、「オートバイもの」のように最速を目指すわけでもない。そんな湘爆の二代目リーダー江口洋助とその周辺の人々の、日常をベースとしたエピソードを各キャラクターの愛車!今回は江口 × SUZUKI GS400の関係から紹介したいと思います。
江口のジーエス
スズキが二輪車の開発・生産に乗り出したのは1952年。最初の製品である自転車用補助エンジンのパワーフリー以来、一部の例外を除けば、実用車からスポーツバイク、そして世界GPを戦ったレーシングマシンまで、シンプルで高性能、同時に信頼性にも優れる2ストロークエンジンによって、1960年代にはオートバイメーカーとしての地位を確立した。しかし1970年代に入ると排気ガスによる大気汚染が問題化、世界中で排ガス規制の導入が避けられなくなる。2ストは構造上排ガス規制をクリアするのが困難だったため、スズキは一から4ストロークエンジンを開発することを選択。CBやZなど先行するライバルたちを徹底研究、過酷なテストを繰り返して開発を進めた。そして1976年、スズキを背負って立つ新世代の4ストモデル第一弾として登場したのがGS400だ。
ウイリーにジャンプに逆さ乗りなど、プロ並みともいえる江口の天性のライディングテクニック。2ストロークで名を馳せたスズキが社運をかけた4ストへの転換を成功させた、軽快で力強い400スポーツであるGS400と江口のテクニックという奇跡の組み合わせから生み出された超絶テクニックに憧れて練習した!と言う方も多いのではないでしょうか。
と言っても、江口のこのライディングテクニックは、必死に練習に練習を重ねた結果ではなく、彼の自転車の運転技術が湘南爆走族の次期総長を探していた初代総長である桃山マコの目に留まり、2代目を襲名することになったエピソードからも、天性のものだった事は明らかで、出会うべくして出会った最高の相棒とも言えるのです。