75年10月の免許制度改定によって400㏄までの中型二輪免許が新設され、401㏄以上の大型二輪には運転免許試験場の限定解除試験をパスしなければ乗ることができなくなってしまう。この試験は平日の日中にしか実施されず、しかも合格率が極めて低かったため、新規に二輪免許を取るユーザーは、簡単には大型バイクに乗れなくなってしまった。当時は、今以上に大排気量車への憧れが強かった時代。必然的に中型免許上限の400㏄クラスに人気が集中し、メーカーもその開発に力を注ぐことになる。そんな状況にくさびを打った250ロードスポーツの歴史、4回目の今回はSUZUKI GSX250Eをご紹介したいと思います。
SUZUKI GSX250E (1981年2月)
●空冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒●249cc●29PS/10000rpm●2.2kg-m/8000rpm●155.1kg
●3.60-18・4.10-18●33万円
この時代の250ccモデルは400ccと車体を共用する例が多い中、80年に登場したGSX250Eは250専用設計というメリットを活かして、GSX400Eよりも約20kg軽量に仕上がっていた。この81年型はカラー変更のみで主要装備、性能については変化はない。
丸みを帯びた少し斬新なスタイルからザリガニを意味する『ザリ』とも呼ばれたこのGSX250Eは、それまでの250ccクラスのイメージとして定着してしまっていた『重くて遅い』というマイナスイメージを払拭する事に成功すると同時に、今までの実用性重視なSUZUKIとは違った斬新なビジュアルが功を奏し、多くの人々を魅了するモデルとなりました。
このザリガニのような戦闘機のような斬新なスタイルは、後に旋風を巻き起こすKATANAを彷彿させるSUZUKIのデザインの新しいスタイルを確立する原点とも言えると思います。