人類を滅亡させ、地球を乗っ取ろうとする謎の地球外生命体アザース。文明が崩壊し、99%の人類が死に絶えた中で、わずかに生き残った人間たちはアザースを撃退する方法を見出すことができるか?『キック・アス』で世界的人気者になったクロエ・グレース・モレッツ主演のSFスリラー映画。

段階を分けて、徐々に確実に人類を追い込んでいく異世界の敵

本作の特徴は、侵略者である地球外生命体のアザースの戦略が、異常に地味で、執拗・綿密で、いやらしいくらいに着実である、ということだろう。『アベンジャーズ』や『インディペンデンス・デイ』のように、いきなりドンっと攻撃してこないし、戦闘型UFOやロボットによる爆撃もない。

タイトルの『フィフス・ウェイブ』とは、彼らの侵略方法が段階を経た波状攻撃であることに起因しているわけだが、それは以下のようなステップを刻んでいる。

第一の波「暗黒」: 電磁パルスによる電子機器の無力化する

第二の波「崩壊」: 津波による都市の水没させる

第三の波「感染」: 鳥を媒介したウィルス攻撃をしかける

第四の波「侵略」:人類に寄生して生存者を一人一人狩っていく

人類生存の希望は若者に託される

人類は、アザースに寄生された人間を感知する方法を突き止めたうえで、子供や若者を訓練して軍隊化し、反撃を開始する。
次なるアザースの攻撃”第五の波” がどのような形を取るかはわからないが、その前に彼らを撃退しなければならない。世界中で徴兵され、鍛え上げられた若者たちの試練が始まるー。

どうやら続編に物語は続く

本作は、アザース対抗の軍隊として組織化されていく若者たちの視点と、アザースの襲撃を逃れながら、生き別れた幼い弟の捜索を続ける女子高生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)の視点の二つを並行して進められる。

正直、圧倒的な力を持つ生命体アザースの攻撃は、第一の波から第三の波までは納得できるものの、人間に憑依して人格を奪い、生き残った人類を殺していくという第四の波はいかにも地味というか、あまりに非効率すぎるように思う。さらに言うと、物語の過程で明らかになる第五の波の正体もまた、ややご都合主義というか、地味さが極まっていくのが残念だ。
とはいえ、クロエちゃんは相変わらず可愛いし、アクションも悪くない。また、アザースの企みも物語の進行と共に巧みに明かされていくので、それなりに緊迫感はある。

どうやら続編がありそうだが、ジェニファー・ローレンスのブレイクのきっかけになった『ハンガー・ゲーム』のような成功を収められるかどうかは、次回作が実際にローンチされ、さらにそのできを確かめてから、ということになるだろう・・。

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