バイクに乗りたい ! と思ったら、多くのひとは始めにどんなモデルを愛車にしようか、あれこれ悩むステップを踏む。
もちろん、そうじゃないひとだって、当然いる。このSRのオーナーの目には、はじめからずっとSRしか映っていない。『月刊オートバイ2017年1月号 特別付録「RIDE」』より

聞き手/文:濱矢文夫  写真:松川 忍  取材協力:カッシーさん(オーナー)
デジタル編集 by 楠雅彦

「もう、最初からSRなんですよ。高校 1年の時に免許取って最初に買ったのがSR」と語る34歳(取材当時)のカッシーさん

好きになったらとことん。若かった彼にとってオートバイ= SRだった。ひとめ惚れが現実となり、片思いが成就してからの日々は、楽しくて楽しくて、SRに乗って走り回った。
そんないつも一緒の深い恋愛のようなオートバイライフだったが、その蜜月は短かった。ある日事故をしてしまい、別れがやってきた。ライダーにとって、残念ながらそういう別れの経験をした人は少なくなく、彼もまた半ば強制的に離れ離れに。(中略)
それから時が経ち、ひょんなことからまたその箱が開いてSRに対する気持ちが盛り上がった。

「ハタチくらいの頃、友達の家に ボロボロのスクラップ状態で土に還りそうになっていたSRがあるのを見つけたんです。それを見たら、また乗りたい気持ちがむくむくとわき上がって。2万円相当のクロムハーツのシルバーネックレスと物々交換して手に入れました。」

セパハンにバックステップ。2ストレーサーレプリカから流用したフォーク。フロント17イン チ(2.15-17)、 リア18インチ(3 . 00 - 18)ホイールでやや前下がりのプロポーション。高性能ブレーキ。カフェレー サースタイルのまさに走り屋 SR仕様だ。

気持ちよく走るためのカスタマイズはどんどん進む。足まわりが変わって、外装が変わって、エンジンが変わって......クロムハーツのシルバーネックレスと交換した SRの面影は、もはやフレームだけになっている。(中略)
「阿蘇であったシングルエンジンオートバイのミーティングに行ったことがあるんです。大きくカスタムされた車両がたくさんあって、刺激と影響 を受けたんですが、反面、こんな にお金をかけて、この人たちは何をやっているんだろうと思ったんです。10代の若者から見て『いい大人がよくやるなぁ』なんて。それが気がついたら、自分がそう なっちゃってた(笑)」

最新技術なんてなにもない、今風のデザインでもない、シンプル な構造で長年愛されてきたオートバイだから、遊び方の自由度が大きい。彼とSRの恋愛はまだ冷めやらぬ様子だ。

聞き手/文:濱矢文夫  写真:松川 忍  取材協力:カッシーさん(オーナー)
デジタル編集 by 楠雅彦