TT-F1が750ccになった時代、公道用市販車としての750ccクラスの人気が低下しても、レース用として750cc車の存在を消すことはできなかった。そしてナナハン・レプリカに着火したのは、またしてもスズキだったのです。そんなナナハン・レプリカの魅力!第1回目はSuzuki GSX-R750をご紹介。

Suzuki GSX-R750

1985年3月8日発売 78万円(Bikers Station©モーターマガジン社)

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国産のロードレーサーレプリカは、ふたつの規制緩和によって生まれた。ひとつは、1982年6月に運輸省(現在の国土交通省)が関係方面に出した"技術基準に適合したフェアリングの装着を正式に認める"という通達だ。もうひとつは、シートに対してどこまでハンドルの位置を下げてよいかという規制で、これらは段階的に緩和されていった。いち早く反応したのはスズキで、かぎりなくロードレーサーに近い市販車として、1983年2月に水冷2サイクル250㏄のRG250Г、翌1984年3月に水冷4サイクル400㏄のGSX-Rを世に問う。
さらに1年後の1985年3月、750㏄クラス初のレーサーレプリカであるGSX-R750が送り出された。

当時大型自動二輪免許が出来たことにより、排気量が401㏄以上の大型バイクを運転する為には運転免許試験場で技能試験に合格しなければならなかった。
しかし、大型自動二輪車免許の合格率わずか数%。そのため、この免許制度が始まった1975年10月以降に16歳を迎えた人の多くは、指定教習所を卒業すれば技能試験が免除となる中型限定の自動2輪免許、いわゆる中免を取得し、250㏄や400㏄のモデルに乗っていた。そんな中、SUZUKIはGSX-R750を投入したのです。

SUZUKIがそんな大きな賭けに出た背景、それは、GSX-R750が発売される前年の1984年、全日本ロードレース選手権で新たにTT-F1(ツーリスト・トロフィー・フォーミュラ1 )が開催されるようになった事にありました。

TT-F1は、市販車を改造した車両で競うヨーロッパの耐久ロードレース用車両規定に基づき、フレームを造り直すことができるなど、改造が可能な範囲は極めて広い。

それに加え、1984年に1000㏄以下( 4サイクル)だった排気量が750㏄以下(同)に改められたのです。

色々な要因が重なり合い、"24時間耐久レースに出ても勝てるレベルのスーパースポーツ"を開発する事を決めたSUZUKIが満を持して登場させたのが、GSX-R750だったのです。