世界最高峰の戦いを演じたライダーたち。その中でも目映いばかりの光を放ち、僕たちを魅了して止まなかった伝説のライダーがいる。ここでは、そんなレジェンド・ライダーと世界で活躍した日本人ライダーに焦点を当ててその栄光の軌跡を辿っていきたいと思います。

瞬く間にGPに駆け上がった超世界級の凄いヤツ

(Racing オートバイ MotoGP GRAPHICS 2016©モーターマガジン社)

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オートレースのトップ選手を父に持ち、5歳でポケバイを始めてミニバイクレースにステップアップ、15歳でアメリカに渡ってダートトラックでライディングを磨いた後、93年にホンダ系チームから全日本ロードレース最高峰のGP500へ参戦、18歳でいきなりチャンピオン獲得。そして94年、NSR500を駆ってワイルドカード参戦した世界GP第3戦の日本GPで、シュワンツ、ドゥーハンといったトップライダーを相手に互角のトップ争いを展開するもリタイア、という衝撃のGPデビューを果たす。本来ならばこの年はその後全日本でスーパーバイクを走るはずだったのが、ヤマハが興味を示して異例のシーズン中移籍が実現、世界GPの終盤2戦にスポット参戦し、翌95年からはフルエントリーが実現する。

WGP・MotoGP戦歴

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1995 WGP500 YAMAHA YZR500 9 位
1996 WGP500 YAMAHA YZR500 5 位
1997 WGP500 YAMAHA YZR500 7 位
1998 WGP500 YAMAHA YZR500 8 位
1999 WGP500 YAMAHA YZR500 6 位
2000 WGP500 YAMAHA YZR500 8 位
2001 WGP500 YAMAHA YZR500 7 位
2002 MotoGP YAMAHA YZR-M1 6 位
2003 MotoGP YAMAHA YZR-M1 スポット参戦(16位)
2004 MotoGP YAMAHA YZR-M1 13 位

世界GP500ccクラスでの通算勝利回数はは3回。ランキングの最高位は5位と、結果だけ見ると特別驚異的な記録を残している訳ではない阿部典史。しかし、当時のWGPを見た誰の記憶にも鮮明に残るようなアグレッシブすぎる攻めた走りは、現在の誰もが認めるトップライダーである、ヴァレンティ―ノ・ロッシが魅了される程のものでした。

マイケル・ドゥーハンに「最も才能に恵まれているが最もリスキー」と言わしめたその鮮烈な走りに現在でも多くのライダー達が憧れ、そして、「まだ走っていたとしたら」と今なお惜しまれ続ける偉大なライダーの1人です。