男はいつまでオートバイ乗りの精神を持ち続けていられるのか。男はなぜオートバイに惹きつけられていくのか。そして男はなぜ速いものに憧れ、速いものを憎むのか。「バイク乗りのバイブル」としてバイクを愛する男たちに愛され続ける『キリン』の物語を紐解いていきたいと思います。
BMW R100RS
単行本第1巻で最初にキリンのバイクとして登場しながら、カタナに乗り換えて手放されてしまったのがBMW R100RS。
新世代のフラッグシップモデルとして、BMW往年のGPレーサー“レンシュポルト”の名を与えられたR100RSが登場したのは1976年。最大の特徴は、量産市販車として世界で初のフルカウルが装着されていること。そのデザインは、アウトバーンを200km/hオーバーで快適に走行することを目指し、風洞実験によって決定された。エンジンは排気量980cc、OHV2バルブヘッドを備え最高出力70PSを発揮する伝統の空冷フラットツインを搭載。快適さと速さを両立した高性能ぶりが世界中で人気を集めたが、1984年で生産を終了。しかし復活を望む声により、フロントホイールを19インチから18インチに変更、リアサスのモノショック化などの改良を施されて1986年に復活、最終的に1992年まで販売された。キリンの乗っていたのはツインショックで、1984年以前に生産された前期モデルということになる。
BMWと言えばR100RS!という人も多いBMWモーターサイクルの基本とも言えるモデルで、「一度はR100RS」という根強いファンも居るほどの1台。キリンもここからスタートし、スピードの向こうへ魅了されていったのです。今のBMWモーターサイクルのデザインからは少しかけ離れた、手作り感のあるボテっとしたデザインが魅力的な名車です。