カメラとしてのユニークかつ機能的なフォルムが評価される

株式会社シグマの「sd Quattro 」が2016年度の「グッドデザイン金賞」を受賞した。グッドデザイン賞とは1957年に通産産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」が母体となっており約60年の歴史を持つものだ。

公式HPによれば「様々に展開される事象の中から『よいデザイン』を選び、顕彰することを通じ、私たちのくらしを、産業を、そして社会全体を、より豊かなものへと導くことを目的とした公益財団法人日本デザイン振興会が主催する『総合的なデザインの推奨制度』です」とのこと。グッドデザイン賞を受賞したデザインには「Gマーク」を付けることが認められる。

sd Quattroのデザイナーは岩崎一郎さん

シグマの山木和人社長へのインタビュー(月刊カメラマン誌2016年8月号)では「岩崎さんは、ただ造形的な美しさを追求されるだけでなく、工業製品へのしっかりとした見識があり、深い配慮と敬意を持ってデザインされている方だと思いました。お声をかけてから、お仕事が実現するまでには8年ほどを要しましたが…」とか。

sd Quattroのボディ正面。レンズマウントの中央に位置する撮像素子はシグマ独自のFoveonセンサー。

sd Quattroのボディ背面。TFTカラー液晶モニターは3.0型約162万ドット。

sd Quattroのトップ部。ボディサイズは約147mm (幅) × 95.1mm (高さ) × 90.8mm (奥行)で重さは約625g (電池、カード除く)。

ちなみに「dp Quattro」でも2014年グッドデザイン金賞を受賞

シグマは「dp Quattro」でも2014年度グッドデザイン金賞を受賞している。このカメラが登場した時、「これがカメラ!?」、「ウナギ犬みたい」など、そのデザインは業界内外に大きな衝撃を与えた。このデザインも岩崎さんが担当している。

月刊カメラマン2016年8月号より引用

sd Quattroの撮像素子「Foveonセンサー」とは?

sd Quattroはシグマとしては初めてのミラーレスカメラで、2016年7月7日に発売された。その洗練されたデザインだけではなく、そのカメラとしての性能も非常にユニークなものだ。その撮像素子にはシグマが自社開発のAPS-C型のFoveon(フォビオン)センサーを搭載する。このセンサーはdp Quattroシリーズにも搭載されている。そのメカニズムとしては、一般的な撮像素子のような単層構造ではなく3層構造となっており、層ごとにRGB(レッド・グリーン・ブルー)各色を感知することができ、従来の一般的なベイヤ式センサーに比べて「圧倒的な高解像度が得られる」というものだ。

月刊カメラマン2016年8月号より引用

シグマは他にもユニークな製品を持つ!

余談となるが、シグマはカメラの「グッドデザイン賞」の受賞だけでなく、他にもユニークかつ高性能な製品をリリースし続けている。

まずシグマの看板製品であるレンズ。ここ数年でラインナップを充実させている交換レンズ「Artラインシリーズ」ではプロの写真家から「神レンズ」と称されるほどの優れた解像力、描写力を持つ。

月刊カメラマン2016年8月号より引用

またレンズのAF微調整、最新のファームアップがパソコンで出来るシステム「USB DOCK(ドック)」などユニークな製品も発表している。

月刊カメラマン2016年8月号より引用

デジタルカメラは2013年以降、従来の「買い替え、買い増し」需要が一段落しており「新たな付加価値がある商品でなければ生き残れない」時代に突入している。そんな中、非上場企業であり、ユーザーの「こんな製品(サービス)があったらいいな…」という思いを現実の形(製品)として他社に先がけて提供するシグマの今後に目が離せない。上記の記事に興味のある方は「月刊カメラマン」2016年8月号特集「シグマの野望」関連記事をご参照ください。