スーパーチャージャーを備えた「過給エンジン」を搭載し、量産車最速と言われるカワサキのニンジャH2R。300PSを越えるパワーを解き放ったら、一体どこまで速いのか? その答えを求め、アメリカまで戦いを挑みに行った猛者たちがいる。TEAM38。そう、彼らこそ、H2Rを作り出した「生みの親」自身なのだ。⁻⁻ (オートバイ©モーターマガジン社)

H2R・最高速チャレンジ

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自分のオートバイの「実力」がどれほどのものか試してみたいという欲求は、ライダーなら一度は思うもの。市販車ながら、公道走行という「檻」を出て、ひたすらに最強・最速のマシンを目指したニンジャH2Rの開発陣にとっても、その想いは同じだった。カワサキ社内の有志で結成される「チーム38」のH2R・最高速チャレンジの発起人となったのは宮内氏。ニンジャ1000やベルシスなどのテストも手がけ、チーム38のライダーとしても活躍してきたテスターだ。「H2Rはすべてにおいて規格外のオートバイですから、その実力はどれほどのものだろう? と思っていましたし、最高速への挑戦に男のロマンも感じていました。そのH2Rの力試しをしたい、と考えたとき、最初に浮かんだのがボンネビルだったのです」

H2Rを熟知したメンバーによる、H2Rの「真の実力」を測るチャレンジの舞台に選んだのはボンネビル。ボンネビルと言うのは、アメリカの「ボンネビル ソルトフラッツ インターナショナル スピードウェイ」で開催される「スピードウイーク」という大会の事。2マイルの助走後、3マイル・4箇所で
速度を計測し、その平均速度で競う伝統的な大会なのです。

H2Rの「真の実力」を知るために集った5人の侍

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通常、こうした最高速競技に使用するマシンは、車高のローダウンやスイングアームの延長、流線型のカウル装着など、最高速に特化したモディファイが施されるが、チーム38は可能な限りノーマルにこだわり、大幅なモディファイをよしとしなかった。実際、エルミラージュではフルノーマルのH2Rで参加している。「サスペンションをアジャストして車高を下げ、カウル類を変更した以外は、基本的にノーマルのH2Rのままです。エンジンに関してはノーマルのままですし、アッパーカウルとフロントフェンダーはA-TECHのものを使用しましたが、極力ノーマルのイメージを崩さないようにしながら、最高速アタックの際に空気抵抗となる、表面の凹凸を滑らかなものとしました。フロントフェンダーは若干深い形状としています(宮内氏)」

H2Rを知り尽くしたメンバーにより着々とボンネビルでの最高速チャレンジの準備が進められていき、スピードウイークの開催まであと2週間と迫る中、降雨によりボンネビルの湖面に貯まった水が引かない事を理由に大会中止のアナウンスが出されてしまいます。これにより、TEAM38はボンネビルからモハベへ参戦計画の変更を余儀なくされてしまいます。そして、5マイルもの連続全開アタックは、1マイルのゼロ発進加速に変わり、走るコースもソルトフラットからアスファルトへと変わりました。

想定外の苦難を乗り越え300㎞/hオーバーの世界へ

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「モハベマイルのコースは普通のアスファルトではありましたが、路面のひび割れを補修した跡が多く、それをまたいで通過する際にホイールスピンを起こすんです。速度が300㎞/hを越えると路面の小さなうねりもギャップのように感じますし、出走当日は昼過ぎに右から強い風が吹いていまして、真っ直ぐ進みたいのにマシンは横に行ってしまって苦労しました」
300㎞/hオーバーの世界。日本国内では、相当限られた条件下でも、そうそう体感できない世界である。その感覚を、山下氏は続けてこう教えてくれた。「280㎞/hくらいで、ひとつの大きな『境目』があるんです。そこから先は、10㎞/hごとに風圧が強まっていって、300㎞/hを越えると、そこから先は5㎞/hごとに強くなっていく感じでしょうか。モハベは1マイルの全開加速なので、あっと言う間なんですが、風圧はだいぶ強かったですね」

そして、強烈な風圧と戦いながらわずか1マイルの加速でH2Rが記録したのは216.4MPH(約348.2㎞/h)。この結果は量産車ではかなりすごい記録だと思います。しかし、チーム38は『カワサキ=最速』の証明と、カワサキに対する期待に応えたる為にチャレンジを続け、2016年遂にボンネビルに参戦したのです。

Kawasaki Team 38 - Bonneville Speed Week 2016 - Ninja H2R

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最強・最速のカワサキを世界に証明する為の第1歩、H2Rの挑戦はまだまだ続きます。

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