スパイダーマンやアベンジャーズシリーズ、X-メンで知られるマーベルコミックの中でも、異色の存在と言えるデッドプールの、初の単独主役映画。自分がコミックのキャラクターであることを認識しており、観客にも話しかけるという、掟破りのトリックスター。

ストーリー

特殊部隊出身のウェイド・ウィルソンは、娼婦上がりの恋人ヴァネッサと結婚を決意するが、突然卒倒してしまう。原因は悪性の腫瘍、つまりガン。余命数ヶ月と知って、ヴァネッサのもとを去る決意をする彼の前に、謎の男が接近する。
彼の申し出によれば、ある実験に参加すればガンを完全治癒することができるうえに、特殊な能力が身につくという。男の申し出を受けて、謎の施設に連れていかれたウェイドだったが、そこは死の病に犯されて藁をも掴む者たちをミュータントに改造して戦闘マシンに生まれ変わらせるという、おそるべきプロジェクトが進められていたのだ。

ミュータント遺伝子を活性化させる特殊な注射を受けたウェイドは、不老不死の驚異の肉体を得るが、その代わり全身は、焼けただれたように醜く変身してしまう。このままではヴァネッサに会うことができなくなってしまうと悟ったウェイドは、施設を破壊して逃走。施設を運営していた組織への復讐を誓い、醜い全身を真っ赤なスーツに包むと、アンチヒーロー デッドプールとして戦いを始めるー。

あくまで自分勝手に振る舞う超人の傍若無人さを楽しもう

R指定がつくのも当然なくらい、ある意味残虐なシーンが満載なのが本作の特徴だ。マーベルのヒーローコミックの中では確かに異色で、敵のボスの居所を突き止めたデッドプールは、アジトに向かうのにタクシーを拾うし、そのタクシーの運転手が友達に彼女を取られたと聞けば、犯罪すれすれの手段で取り返せとそそのかす。実際その運転手が恋敵を誘拐すると、デッドプールは小声で(よくやった、殺して捨てちまえ)と囁く始末だ。

つまり、デッドプールはスーパーヒーローの能力を持ってはいるものの、倫理観や道徳を持ち合わせていない、トリックスターなのである。
キレキレのアクションと、ヒーローらしからぬ彼のふざけた言動を受け入れることができれば、このデッドプールを楽しめることができる。従来型の悩めるヒーロー、正義あふれる行動を期待すると、思い切り肩透かしを食らう。

ま、僕は結構好きなタイプの映画で、続編を心待ちにしているのだが。

醜い素顔を赤いスーツで隠す。

デッドプールをX-メンにリクルートするミュータントも登場する。

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