1982年まで、日本の量産車にはカウリングも低いハンドルも許されていなかった。これらの規制が緩和されたのがレーサーレプリカの誕生を促したのである。そして1983年2月20日SUZUKIから発売された日本のレーサーレプリカ第1号RG250Г。そこから始まったレーサーレプリカブームの軌跡を辿っていきたいと思います。

1980年代に入って間もなく起こったバイクブーム。当時多くのライダーの高性能なレーシングマシ
ンへの憧れが詰まった、夢のようなオートバイであるレーサーレプリカが多数誕生しました。そんな本格レーサーレプリカが生まれる前の時代のレーサーレプリカの原型とも言えるオートバイがあるのです。

YAMAHA YDS1 (1959~1962)

(日本のバイク遺産 -レーサーレプリカ年代記-©モーターマガジン社)

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YD1をベースにチューニングした空冷2スト250cc並列2気筒エンジンをダブルクレードルフレームに積み、1957年の第2回浅間火山レースの250ccクラスで1〜3位を独占したYDレーサー。YDS1こそレーサーレプリカの嚆矢というべきだろう。

そして1962年、このYDS1の後継モデルであるYDS2をベースにした、ヤマハ初の市販ロードレーサー・TD-1が登場するのです。

YAMAHA DT1 (1968)

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近代的なオフロードモデルのルーツとして知られるDT-1も、その開発の経緯を振り返ってみるとレーサーレプリカだといえるだろう。まだオンロードモデルをベースにした原始的なオフロードモデルしか存在しなかった1966年、アメリカから上がった一般公道もオフロードも走れる「トレールモデル」を求める声に応えて開発がスタートしたDT-1。そのベースになったのは、それまで2気筒モデルを中心としていたヤマハ初の単気筒エンジン搭載ファクトリーモトクロッサー・YX26。1967年の全日本モトクロスで鈴木忠男選手によってデビューウインっを果たしたYX26は、その後も数多くのレースで勝利を重ねていった。

125cc並にコンパクトで軽量な250cc空冷2スト単気筒エンジンやスリムに仕上げられた車体デザインなど、その全てはYX26からフィードバックされたものでした。そして、保安部品を外せばモトクロッサーに劣らない性能で、新しいオフロードバイクの時代を切り開いていったモデルとなったのです。