2016年9月17日(米国時間)テキサス州 - ボクシング界の次世代スーパースターとして世界中から熱い視線を集める男、サウル・カネロ・アルバレスがミドル級から1階級落としたスーパー・ウェルター級で世界タイトルマッチに挑んだ。WOWOWにて観戦

つい最近タイトル防衛を果たした最強ミドル級チャンプ(すみません、この試合うっかり見逃しました・・)、ゲンナディ・ゴロフキンとのスーパーファイトが世界中で期待されているカネロ・アルバレス。カネロとは彼の愛称でシナモンという意味。メキシコ人には珍しく赤毛のためについたニックネームだ。

そのカネロは一度ミドル級に階級を上げてタイトル獲得に成功したものの、ゴロフキンとの対戦は時期尚早と考えたのだろう、タイトルを返上して、元いたスーパー・ウェルター級に戻したことで話題になった。

そのアルバレスが、現在まで無敗のチャンピオン リアム・スミスに挑戦した。

今回挑戦する相手は、WBOスーパーウェルター級チャンピオンのリアム・スミス。2016年9月現在28歳のイギリス人だ。Beefy(がっしりしている)というあだ名を持ち、現在まで24戦23勝13KO1分けという無敗の戦歴を持つ。

アルバレスが人気がある理由は、身長こそそれほど高くはないが筋骨たくましい恵まれた体格と、多彩なパンチを繰り出すテクニックを擁して、常に真っ向勝負をするケレン味のないファイトスタイルだ。さらに、マット・デイモン似の容姿が女性票も集める。

ゴロフキンとの勝負を避けたことは、ボクシングファンを失望させたのもの、今回のリアム・スミスも決して楽な相手ではない。実際、全体的には圧しながらも、スミスの早い連打とアグレッシブな抵抗にあって、ガードを固めてロープに詰められるシーンも多々あった。

防御を固めて接近し、パワフルな連打を放つリアム・スミスにアルバレスは苦戦する。

とはいえ、若いながらすでに49戦もこなしてきたカルロが唯一の敗戦を喫した相手は、天才メイウェザーだ。スミスのようなファイターではなく、世界最高のアウトボクサーである。
カルロ・アルバレスにとって、ファイタータイプは決して苦手なタイプではないのだ。

それが証明されたのは、7ラウンド。スミスはアルバレスをロープに詰めて連打を重ねていたが、ほんの一瞬の隙にカネロの素早い連打が炸裂。まず右フックを顔面に叩き込み、次いでボディに左を突き刺す。間髪入れず再び右のフックでスミスのテンプルを強打したのだ。たまらずスミスはダウン。

立ち上がったスミスは後半再びアルバレスをコーナーに詰めるが、劣勢を挽回するには至らなかった。8ラウンドに入ってもスミスは積極的に攻めるが、追い込んだはずのロープ際で逆にアルバレスのアッパーをボディにくらい、再びダウン。ついに形勢は一方的なカルロペースになり始めるのである。

しかし、それでもチャンピオン リアム・スミスは闘志を失わない。一発一発のパワーではアルバレスにかなわないので、一時は脚を使ってみようと試みるものの、本来のファイトスタイルは捨てず、結局アルバレスをロープに詰めて連打を叩き込もうとするのだ。あっぱれ!

が、結局、カネロの強烈なボディ攻撃の前に、ついには9ラウンド、マットに沈んだ。初の敗戦は、完膚無きまでのKO負けとなってしまった。

ここで政権交代。カネロ・アルバレスはテクニックに裏付けられた強打を遺憾なく発揮。
WBO世界スーパー・ウェルター級の王座を奪うことに成功した。

カネロはしばらくこの階級で勝利を重ねていき、2017年のゴロフキンとのスーパーファイトに向けて、実績と経験を積んでいくことになるだろう。