世界最高峰の戦いを演じたライダーたち。その中でも目映いばかりの光を放ち、僕たちを魅了して止まなかった伝説のライダーがいる。ここでは、そんなレジェンド・ライダーと世界で活躍した日本人ライダーに焦点を当ててその栄光の軌跡を辿っていきたいと思います。
(Racing オートバイ MotoGP GRAPHICS 2016©モーターマガジン社)

勝利かリタイアか!ギリギリ限界スプリンター

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ケビン・シュワンツは世界GPでは500ccクラスで105戦していて、残した勝利の数は25。これは世界GPの最高峰クラスでの勝利数としては歴代6位という素晴らしい記録だ。シュワンツのライバルであったウェイン・レイニーの通算24勝を上回っているのだが、タイトル獲得回数ではレイニーが90年・91年・92年の3回なのに対して、シュワンツは93年の1回のみ。これには、シュワンツのレーススタイルが大きく影響している。

優勝かリタイアか。選択肢は2択しかないような全身全霊を込めた走りにファンは多く、誰も真似できないレベルでのレイトブレーキングでコーナー奥深くに突っ込んで他のライダー達をオーバーテイク。バンク角はひたすら深く、そして少々マシンが暴れても長い手足で抑えこむという豪快なライディングスタイルは、多くの観客を熱狂させました。

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しかし93年は4勝してリタイア1回のみという、人が変わったようにクレバーな走りでレイニーの4連覇を阻止、念願の世界タイトルを手にする。だがそのレイニーはイタリアGPでの転倒でライダー生命を絶たれ、そのことがタイトル獲得に大きく影響したため、シュワンツに「あいつのケガが治るのなら、タイトルなんかいらない」と言わしめた、苦いタイトルとなってしまった…。

1994年、シュワンツのマシンにはチャンピオン・ナンバーのゼッケン1が付けられます。そのゼッケンを良く見ると1の文字の下の方に長年シュワンツが好んで付けていたナンバー「34」が、小さくだが入っていました。

WGP成績

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1986 WGP500 SUZUKI RG- Γ 500 22 位
1987 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 16 位
1988 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 8 位
1989 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 4 位
1990 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 2 位
1991 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 3 位
1992 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 4 位
1993 WGP500 SUZUKI RGV- Γ 500 1 位
1994 WPG500 SUZUKI RGV- Γ 500 4 位
1995 WPG500 SUZUKI RGV- Γ 500 15 位

念願の優勝を手に入れたはずのシュワンツ。しかし、宿命のライバルを失ったシュワンツは、2年後の95年シーズン途中にに31歳の若さで引退してしまうのです。