F1間近だった天才レーサーを父に持ち、祖父のイタリア・フランス車専門の自動車修理工場で育った四條ヨツバは女子大生。”車の声”を聞くことで 直感的に車の好不調を感じ取ることができる不思議な能力の持ち主なんです。
所属する大学の自動車部でのエピソードと、修理工場にやってくるお客とのエピソードを織り交ぜた、自動車大好き少女のお話。彼女の愛車は亡き父が遺したアルファロメオ・SZ。車の声が聞こえる彼女は、ドライバーとしてもエンジニアとしての天才の片鱗を見せます。
そんな彼女の能力に魅せられたさまざまなキャラクターとの交流や軋轢が本作のストーリーとなりますが、全巻を通して一貫した話の流れがあるわけではありません。その点は、麻宮騎亜先生の『彼女のカレラ』シリーズにある意味近いですね。(『彼女のカレラ』のヒロイン 轟麗菜ちゃんも美人で、轟家に代々伝わる車に関する特殊な能力を持っているらしいのですが、結局それがなんなのかはストーリーにほぼ関係なかったw)
要するに、本作はストーリーを楽しむのではなく、実に美しく描かれた車、特に偏愛傾向がみられるアルファロメオを堪能する、というのが正しい読み方ということです。
それ以上でもそれ以下でもなく。ひたすら岡本先生が愛情を込めて描いた車たちを楽しみましょう。いつのまにか、ラテン系の車たちを買いたくなっちゃうはずですよ。