北京モーターショーで公開された「フォルクスワーゲン Tプライム コンセプト GTE」。

デザインからコネクティビティまで、これが未来のフォルクスワーゲン

北京モーターショーで発表された「Tプライム コンセプト GTE」は、デザイン、HMI、そしてコネクティビティなど次期トゥアレグの方向性を示すモデルであり、そこにはフォルクスワーゲンの未来が見えるとも言える。開発者にスタジオで詳しく説明を受けたので、その紹介をしよう。(文:木村好宏/写真:Kimura Office、Volkswgen AG)

5mを超える全長だが、これがニュートゥアレグとして市販されるときにはひとまわりコンパクトになるはず。

これまで何度となく様々な機会で報告してきたが、日本市場と比べると世界各国ではSUVの人気が著しく上昇していて、昨年の欧州での販売台数は398万台に達している。これはベストセリングであるハッチバック(702万台)に次ぐ記録である。しかし、その伸び率は後者の1.3%に比べると13.8%と異常と言えるほどの勢いである。
この高い人気の秘密はどこにあるのかと言えば、高いドライビングポジション、ミニバンと同じ広さや使い勝手が良いのに加えてスポーティでアクティブな佇まいがドライバーの心をくすぐるに違いない。さらにどこにでも行けそうな走破性能もユーザーの心を掴んでいるようだ。

フロントタイヤハウスの後部から流れるラインがショルダーを形成してリアエンドへと繋がっていく。

さて、この流行の波にしっかり乗っているのがドイツメーカー、とくにプレミアムブランドでアウディの“Qシリーズ”、BMWは“Xシリーズ”、そしてメルセデスベンツ“GLシリーズ”の他に、ポルシェまでもが4ドアスポーツと称してカイエンを世に送り出している。

またこのカイエンのプラットフォームを使ったフォルクスワーゲンのトゥアレグも忘れてはいけない。これは同社が2002年に市場に送り出した初めての高価格SUVだが、現在では確固たるポジションを確立している。

フォルクスワーゲンのミドルクラスからフルサイズまでの統括担当となった、Dr.エルマー・マイルス・リヒャルツ(左)は、弱冠45歳である。右は筆者。ドイツのスタジオで撮影とインタビューする機会に恵まれた。

フォルクスワーゲンでミッドサイズ(パサート)からフルサイズ(トゥアレグ)を担当するエルマー・マリウス・リヒャルツ氏は「SUVセグメントは比較的新しく、既存ブランドに左右されずにニューカマーを受け入れられやすい。その代表がトゥアレグで大量生産ブランドのフォルクスワーゲンとしては破格の4万ユーロを超える価格にもかかわらずプレミアムブランドに劣らない健闘を見せた。既存のプレミアムに対して高級リムジンのフェートンが結果を出せなかったのとは正反対なのです」と説明する。(この続きはMotor Magazine 9月号で)