この夏、桑田圭祐さんがおよそ3年ぶりにリリースした、ニューシングル「ヨシ子さん」はファンの方たちの予想をいい意味で裏切る、意欲作として受け入れられたのではないかと思います。現代の風潮を皮肉る昭和のオッさんのごとくご本人が登場するMVは、なんともカオスな世界観を表現していてさすがだなぁと思わされました。

桑田佳祐 - ヨシ子さん

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この曲をはじめて聞いた時に、あ、レゲエトラックだなと思ったのは私だけではないはず。このレゲエフレイバーがこの曲に、夏らしさや独特の怪しさを与えているのではないかと。そして、このリズムは聞いたことがあるなぁ〜と思い出したのが、1990年代に大流行したレゲエトラックでも代表的な「Bam Bam」というリズムでした。

「Bam Bam」という曲は1971年にジャマイカのアーティスト、トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズにより発表されたレゲエの名曲です。のびやかでソウルフルなトゥーツ・ヒバートのボーカルが心地よい「Bam Bam」は、当時の彼の地では大ヒットして国民的な名曲となったようです。そのBam Bamを世界的なヒット曲にしたのが、レゲエをメジャーなミュージックシーンに押し上げたといっても過言ではない、レゲエリズムを制作するユニット、スライ&ロビーにより1991年に発表された、チャカ・デマス&プライヤーズの「マーダー・シー・ロート」です。

THE MAYTALS - BAM BAM.wmv

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Chaka Demus & Pliers - Murder She Wrote

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まずは聴いてみてください。オリジナルのBam Bam(上)はもちろん歴史的名曲ですが、これを現代的なノリのいいダンスチューンにアレンジしたスライ&ロビーのトラック。1990年代に英国のポップチャートでヒットを連発した、チャカ・デマス&プライヤーズの歯切れのいいフロー。普通に聴くとリメイクとは思えないほど、全く違う曲のようですね。

レゲエミュージックの大きな特徴は、ある曲がヒットするとその曲のリズムをそのまま使ったりアレンジするなどして、それに違う歌詞をのせて新しい曲をどんどんリリースすることです。当時はもちろんアナログレコードですが、7inchレコード(日本ではドーナツ盤って呼ばれてましたね)のB面は、たいていその曲のトラックのみ(つまりカラオケですね)が収録されていました。

このスライ&ロビーによるBam Bamトラックも大ヒットし、ジャマイカのアーティストから数々のバリエーションともいえる曲がリリースされています。レゲエDJはこうしたバリエーション曲を何枚も用意して、ヒットトラックを次々とターンテーブルでつないでゆき、ダンスフロアを盛り上げてゆくのです。私もクラブDJ時代はこの曲をヘビーローテーションしていました。

これから夏本番。ツーリングや海水浴と楽しいイベントを予定している方も多いと思います。こんなノリのいいレゲエミュージックを聴きながら熱い夏を満喫しましょう。