ボンネビルはトライアンフにとって特別な場所なのです
今もトライアンフの2気筒モデルに引き継がれる「ボンネビル」の名前は、世界速度記録の"メッカ"であるボンネビル・ソルトフラットに由来するものです。干上がった広大な塩湖は限りなくフラットな地形で、速度記録に挑戦するには格好の舞台ですが、今から60年前トライアンフはこの地で当時の世界記録を見事に樹立しました。
マグハム率いるテキサスチームのライバルは、当時世界最大規模を誇る大メーカー、西ドイツのNSUでした。過給器付きDOHC2気筒500ccという高度なメカニズムを持つNSUのファクトリー・レコードブレーカーと戦うテキサスチームのストリームライナーは、公道用量産車であるトライアンフ・サンダーバードの鋳鉄製シリンダー&シリンダーヘッドのOHV650ccツインを、メタノール燃料仕様にチューニングしたものでした。
前回同様、フラットトラックレースで活躍していたジョニー・アレンをライダーに起用したテキサスチームは、見事NSUを打ち負かす時速214.5マイル(約345.2km/h)を記録。しかし、欧州が支配する当時のFIMはテキサスチームに対してイチャモンのようなクレームをつけ、FIM公認記録として彼らの偉業を史実に残すことを拒みました。ただ、世界中のモーターサイクル愛好家は、非公式扱いだろうが世界最速の座にあるのは当然トライアンフと認識し・・・とテキサスチームをたたえました。
テキサスチームの活躍を喜んだ英本社は、1959年型から用意するフラッグシップ・スポーツモデルに、ボンネビルという名前を与えます。1960年代をとおして、ボンネビルはアメリカをはじめ世界で最も人気のあるモーターサイクルとなったことは、多くの人の知るところです。
再び「伝説」を築くか? 乞うご期待!
現在、2輪の世界で世界最速の座にあるのは、マイク・アカティフが率いるアック・テクノロジーが産み出した「アック・アタック」です(2010年、ライダーはロッキー・ロビンソン)。ギャレット製ターボチャージャーを備えるスズキ隼1300ccエンジンを2機搭載するアック・アタックは1000馬力以上!をマークし、時速376.363マイル(約605.697km/h)という驚異のスピードを誇ります。
ガイ・マーチンが駆るトライアンフのストリームライナーは、2機のロケットⅢの2294ccエンジンにターボチャージャーを組み合わせ、1000馬力以上を発生します。参戦クラスはストリームライナー形状モーターサイクルのディビジョンC。狙うはひとつ、アック・アタック越えのみ・・・です。
トライアンフとガイ・マーチンの挑戦がどのような結果になるのか・・・注目しましょう! (※動画は昨年制作のものです)。