世界最高峰のフォーミュラレースがF1なのは周知の事実。しかしながら、日本にはそれを上回る排気量、ボディサイズ、そして官能的なサウンドを奏でるレースがあります。それがスーパーフォーミュラ選手権。車体はダラーラ、タイヤはヨコハマのワンメイク、エンジンのみトヨタvsホンダの競合なれど実力はほぼ互角。勝負のカギはドライバーの腕とセッティング能力、そしてそれを支えるチーム力という、まさにストイックなレースなのです。
今回は7/18-19に富士スピードウェイにて行われた第3戦の模様をお届けします。

ウェットとなった土曜の予選、ポールポジションを獲ったのはバンドーン選手。すでにマクラーレン・ホンダでF1デビューを果たし、今期初ポイントをチームにもたらした事でご存知の方も多いでしょう。SFで優勝し来期のF1レギュラーシート獲得に弾みをつけたいと考えているに違いありません。

一方、予選では路面コンディションの変化に振り回されQ3へ進めず9番手スタートとなった小林可夢偉選手。ドライとなった決勝でのセッティングをギリギリまで山田健二監督兼エンジニアと詰めていたようですが果たして。

14時03分、決勝レースがスタート。周回数は55周、最低1回のピットインが義務付けられています。
と、いきなりポール41号車バンドーンが2番手スタート1号車石浦に鬼の様な牽制を見せます。石浦もチャンピオンの意地でアクセルを緩めず、両者並んで1コーナーへ。

案の定、バンドーンはブレーキをロックさせコーナー外側へ。石浦もコーナー立ち上がりで大きくはらみ、漁夫の利を得たのが3番手スタートの19号車オリベイラ。続いて37号車中嶋一貴、65号車バゲットの順。

4周目の最終コーナーでオーバーランした19号車オリベイラに代わり、37号車中嶋が5周目からトップに。その後、徐々に後続との差を広げ始めます。

3番手バゲット、4番手バンドーン。どちらもベルギー出身ということです。

16周目、タイヤ交換を終えた直後の2号車国本が1コーナーでスピン、ギアトラブルです。その横をすり抜けるチームメイト1号車の石浦。リアウィングの美羽チャンが切なく見えます。
マシン回収のためセーフティーカー導入、これを機に各車一斉にピットイン。

20周目にSC解除となり、レース再開。リスタート直後は37号車中嶋のペースが良かったものの、オリベイラがじわりじわりと近づき始めます。

レース後半、ペースの落ちた65号車バゲットを先頭とする3番手争いが混沌としてきました。20号車関口がバンドーンをかわし猛追撃を開始。

トップ2台も急接近。しかしこの時1コーナーではイエローフラッグが出ており抜く事はできません。19号車オリベイラはワンチャンスをものにするべくタイヤを温存させながら37号車中嶋をピタリとマーク。

そしてイエロー解除となった51周目の1コーナーで中嶋を一発でオーバーテイク、そのままトップチェッカーを受けました。

3位には、36号車ロッテラーの猛攻を凌ぎきった20号車関口雄飛。チームインパルのダブル表彰台と共に、自身のスーパーフォーミュラ初表彰台となりました。

ゴール後のパルクフェルメ、エキサイティングでクリーンなバトルにオリベイラ選手、中嶋選手が互いの健闘を称えあいます。思えばこの1,2ヶ月、惜しいところで勝利を逃してきた2人なので気持ちも通ずるところがあるのでしょう。

星野監督、おめでとうございます!素晴らしいレースを見せてくれたドライバーの皆様、本当にありがとうございます。
さあ、日本にはスーパーフォーミュラがある!と世界に発信してくれよ、バンちゃん!(笑)