隕石が地球に激突せず、恐竜の絶滅が起こらなかった世界。恐竜たちは知恵をつけ、言語を操り、農業を営むことができるようにまで進化していた。そして人間もまたようやく姿を現していたが、まだ話すことはできない原始人であり、恐竜たちに比べれば脆弱な種であった。
草食系の大型恐竜の子供でありながら、弱虫で体も姉兄よりかなり小さかったアーロは、貯蔵していた食料を盗み食いしていた原始人の少年と出会う。アーロは少年とともに川に流され、家族とはぐれてしまうが、自分よりはるかに小さな少年の勇敢さに心を動かされ、徐々に二人には友情が芽生えていく。言葉を知らない原始人の少年を、アーロはスポットと名付け、一緒に家族の住む場所へ戻る旅を始めるのだ。
草食系の大型恐竜の子供でありながら、弱虫で体も姉兄よりかなり小さかったアーロは、貯蔵していた食料を盗み食いしていた原始人の少年と出会う。アーロは少年とともに川に流され、家族とはぐれてしまうが、自分よりはるかに小さな少年の勇敢さに心を動かされ、徐々に二人には友情が芽生えていく。言葉を知らない原始人の少年を、アーロはスポットと名付け、一緒に家族の住む場所へ戻る旅を始めるのだ。
怖さを乗り越えてこそ本物の勇気を得ることができる。
アーロにとって、実はスポットは、父親の仇のような存在でもある。
食料を盗み食いしていたスポットを発見し、父親のヘンリーとともに彼を追いかけている途中で、ヘンリーは事故にあって不慮の死を遂げてしまうからだ。
しかし、確かにスポットを追いかけている最中の事故ではあったが、実際にはアーロ自身の弱気が遠因になって父親を死なせてしまったことを、アーロはわかっている。逆に、スポットは言葉こそ話せないが知性はある。アーロに対してなぜか親近感を持ち、怪我をした彼に木の実を与えたりする。この世界では人間は、恐竜からペット扱いされるが、それでも対等以上に互いの存在を必要と思わせる。やがて恐竜と人間の少年との間には本物の友情が生まれるのである。
そして、旅の途中で出会ったティラノサウルス(カウボーイのように牛の群れを放牧している!)たちからは、恐怖を感じない動物は生きていけない、恐怖を乗り越えて戦うことが本当の勇気であると教えられるアーロは、徐々に少年から大人の男へと成長していく。
いつもながらのピクサーの王道的ストーリー
ピクサー映画としては、本作は興行的にはあまり成功したと言えなかったらしい。
しかし、知性を持つ恐竜と、まだ進化をし始めたばかりの人類の邂逅という設定は面白いし、弱虫の主人公がさまざまな試練を乗り越えて本物の勇気を手に入れていくという、ピクサーの王道的ストーリー展開は、本作でも健在だ。
そして少年時代の友情の多くが、切なくも温かい別離を迎えることで、さらに深みを増すように、本作でも二人の少年がいつか再び相見える約束を交わすことで、大人への道を歩み始める。
実に可愛く、実に微笑ましい、感動の一作であり、みていない人はぜひご覧いただきたいと思う。